先日、一流経済誌のウェブ媒体コラムで、とあるグローバルエリートが日本の政界をプロレスに例えて酷評しました。
日本の政界はプロレス界にそっくりだ | グローバルエリートは見た! | 東洋経済オンライン
いわくどちらも新時代に適応できていない。いわくどちらも新しいスターを生み出していない。その時代錯誤なプロレス認識に私を始め熱心なプロレスファンは激怒し、自分で前髪を切り落とす勢いでした(注:1988年、藤波辰爾は師匠であるアントニオ猪木に反旗を翻し、その意気込みを示すために「やってやりますよ!」と言いながらハサミで自分の前髪を切り落とすという斬新なアピールをした。これが世に言う飛龍革命である)。
私はファイティングTVサムライというスカパー!のプロレス格闘技専門チャンネルで、16年間プロレスキャスターを続けています。元々はプロレスファンではなかった私も、現在は脳内の8割をプロレスが占めているような状態で(残りは猫とサッカー)、総選挙があろうが誰かが島に上陸しようが日々お構いなしに胸板をチョップで真っ赤に染める半裸の男性や、顔面を思いっきり蹴飛ばし合う女性たちの戦う様を伝え続けています。
cakesのような品のいい媒体を購読されている皆さまは、いったいどれくらいプロレスをご覧になったことがあるでしょうか。全く見たことがない、という人はまだいい。むしろ問題なのは、「かつては好きだったけど今は見てないなあ」という先のグローバルエリートのような方々です。テレビのゴールデンタイムで放送し、猪木さんが失神し、タイガーマスクが躍動し、長州力選手が噛ませ犬になりたくないと革命を起こしたり、それこそ藤波辰爾選手が前髪を切り落としたり大仁田厚選手が号泣しながら電流爆破に飛び込んだりした時点でプロレス観が止まってやしませんか。
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