新訳 世界恋愛詩集

波打ち際の白衣の乙女」プーシキン

妻の名誉を守る決闘の末、愛に散った詩人プーシキン。いまなおロシアで最も愛されている国民詩人が残した一篇の詩「あらし」が、菅原さんの手によってどのように超訳されるのでしょうか。
詩人天気予報」などで話題の詩人・菅原敏さんが、古今東西の詩人の作品に新訳という名のオマージュを捧げる本連載。気鋭の現代美術家・久保田沙耶さんのアートワークとともにお楽しみください。


霧たちこめる
あらしのよるに
くつもはかずに 岩のうえ
波打ち際の白衣の乙女を
見たことが あるなら



霧たちこめる
あらしのよるに
ふるえる水の 冷たさで
波打ち際の白衣の乙女を
抱きしめたことが あるなら



あなたにもわかるでしょうか



風がベールを奪い去り
稲妻照らす 頬に赤
しずくの落ちる黒髪と
時間は石と固まって
私だけが知っている
彼女の最後の ものがたり



霧たちこめる
あらしのよるに
空と海との 境界線
両手ひろげて 目を閉じて
白衣の女が 岩に立つ



「波打ち際の白衣の乙女」


アレクサンドル・プーシキン(1799~1837)

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新訳 世界恋愛詩集

菅原敏 /久保田沙耶

あまたの恋を書き残してきた、かつての詩人たちに、新訳という名のオマージュを。『新訳 世界恋愛詩集』は気鋭の詩人、菅原敏による新連載。いにしえの恋愛詩の輪郭を、菅原敏のいまの言葉でなぞっていきます。古い詩集に絵の具を落とし、新たな色で輪...もっと読む

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sugawara_bin 【月曜おひるに詩をひとつ】 『波打ち際の白衣の乙女』プーシキン https://t.co/NQsa1RJlQZ 時間は石と固まって/私だけが知っている/彼女の最後の/ものがたり 菅原敏/久保田沙耶| 約2年前 replyretweetfavorite

sayakubota 【くつもはかずに更新】 彼女の最後のものがたり。 菅原敏/久保田沙耶|新訳 世界恋愛詩集|ケイクス http://t.co/eqPoN2pJ 約2年前 replyretweetfavorite

sugawara_bin 時間は石と固まって/私だけが知っている/彼女の最後の/物語 https://t.co/NQsa1RJlQZ 決闘の末、愛に散ったロシアの詩人。 菅原敏/久保田沙耶| 約2年前 replyretweetfavorite