企画会議のないゲーム作り
稲船敬二(以下、稲船) 今のゲーム制作は、ハードが進化して制作費がものすごく高騰しているし、それに対する売上が上がらない。そうなると、大手の会社もゲームを作りづらくなっていますよね。
加藤拓(以下、加藤) よっぽど売れる見込みがないと作らなくなっている。だから人気のあるシリーズものばかり作ったり。
稲船 そういう状況において、クラウドファンディングは1番やりたかった調達方法なんですよ。ゲーム作る時って、最初は「こんなゲーム作りたいんだよね」「きっとこれはユーザーに受け入れられるよね」と思って作り始めます。これは、大手でもインディーズでも変わらない。問題は次の段階なんです。
加藤 企画を作って、会議に出してっていう段階ですね。
稲船 そう。大手だと、企画を会議に出して、お偉いさん達に認められてからゲーム作りを始める。けど、クラウドファンディングでは、ユーザーが「それいいな! 面白そうだからお金だすよ!」って言ってくれた時点で、ユーザーから認められてるんです。
加藤 最初からユーザーに認められてるというのは、とても心強いですよね。
稲船 経営者の目線で見て「儲かる!」と思っても、実際にユーザーが面白いと思ってくれるかは別なんです。クラウドファンディングは、ユーザーが出資してくれた時点で、基本的にある程度売れることが決まっているようなものですから。
加藤 最初から売れることがわかってるなんて、今までのやり方じゃ考えられなかったです。
稲船 ゲーム業界のいろんな人が「ユーザー目線になって」とか「ユーザーの気持ちになって作れよ」って言うんですけど、いったいそれがどこまでできるものなのか。けど、クラウドファンディングは、実際にユーザー目線のゲーム作りを実行しないとお金が集まらない。そこからスタートできるというのは、従来のゲーム作りよりも、一歩先にいっていると感じていますし、将来のゲーム作りはここにしか無いと思っています。
加藤 クラウドファンディングでいうと、もうひとつ大きなメリットがあるなと感じていて。
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