「艦これ」から「グランドセフトオート」まで認める海外ゲーマー
加藤拓(以下、加藤) 稲船さんが使った、Kickstarterというクラウドファンディングは海外のサービスですよね。なにか海外と日本で違いはありましたか?
稲船敬二(以下、稲船) ゲームの地位、価値が違うんですよ。ちょっと説明しづらいんですが、日本ではゲームはあくまでゲーム。だけど、海外ではゲームは文化なんですよ。
加藤 文化、ですか。
稲船 例えば、日本のゲーム業界において支持されているものって、けっこう絞られている。女の子が軍艦になったりするのとか、アニメっぽいものとか。
加藤 『艦これ』*1ですね(笑)。あと、日本だと稲船さんも携わっていた『モンスターハンター』も日本で突出して受けてますよね。
*1 「艦隊これくしょん -艦これ-」:大日本帝国海軍の艦艇を萌えキャラクターに擬人化した「艦娘」をゲーム中で集め、強化しながら敵と戦闘し勝利を目指すというもの。
稲船 モンハンのように、戦闘の途中で肉を食べたり武器を研いだりというのは、海外の人からしたら「はあ?」って思うらしいです。リアリティ無いよねって。
加藤 なるほど。
稲船 そうやって支持されるジャンルが絞られると、その流れに乗って、似たような世界観のゲームばかりになってしまうんですよ。
加藤 確かに日本は一部のジャンルが突出しているような感じがします。
稲船 もちろん、そういうゲームもあっていいんです。ただ、海外だとそういうゲームだけじゃなく、『グランドセフトオート』や『コールオブデューティ』のようなゲームも受け入れられる。海外の人たちの「好き」っていう部分の絞りの広さ、層の広さはすごいと思います。ゲームイベントに行くと、小さい6、7歳くらいの女の子が「メガマン好きー!」*2ってキャーキャー言いながら僕のところに来るんですよ。
*2 『ロックマン』の英語圏における呼称。
加藤 そんな小さな子が知ってるんだ!
稲船 かと思ったら、次は身長2メートルくらいある青年が「おれはメガマン大好きなんだ!」って握手を求めてくるんです。この年齢の広さや多様性は日本ではあまり感じられないです。
尊敬するのはゲームか、クリエイターか
稲船 あと、リスペクトの仕方の違いもある。例えば、さっき加藤さんが「稲船さんのゲームをやって育ってきて~」みたいなことを言ってくれたじゃないですか。そういうの、だいたい建前ですよね?
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