日本の教室は「質問禁止」
渡辺 冷泉さんが書かれた『アイビーリーグの入り方』、拝読しました。「アイビーリーグ」というのはアメリカ東海岸の名門8大学のことですよね。タイトルだけ見ると、「外国留学するつもりがない私には関係ないことだ」と思う方がいらっしゃるかもしれません。
けれどもこの本は、実は、日米の大学が「将来性がある学生」を選ぶ視点の差を説明したものなので、日本にお住まいの方でも興味深く読める本だと思いました。
冷泉 ありがとうございます。本のなかでは、日米の教育の差についていろいろ紹介しましたが、さらに驚く例として挙げたいのが、日本では教室で質問をするのは基本的に禁止されているということです。
渡辺 えっ。どうしてですか?
冷泉 理由はいくつかありますが第一に、質問は恥ずかしいことだから。質問するのは、先生の授業だけではわからないというふうにとられるんです。わからないとしたら、本人の能力が足りないか、あるいは先生の説明が不十分だということになります。だから、質問するのは、能力がないのを晒すか、先生への反逆のどちらかであって、タブーなんです。だから、それでも質問するなら申し訳なさそうに聞かないといけないんです。
渡辺 質問してくれる生徒を高く評価するアメリカとは逆ですね。
冷泉 ある日本語論の本で、ある帰国子女が、敬語も完璧に話せて日本語の面では問題がないのに、しつこく先生のところに来て質問したら、先生が「おまえは何なんだ!」と怒ってしまったという逸話が書いてありました。
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