文章力は、伝達力の基本」【第13回】伝えたいことはストレートに書く!

「日本人が日本語の文章を書くための文章力は、わざわざ身につけなくてもよい」は誤解です。子どものころに「文章を書く」という指導をきちんと受けてこなかった私たちに、入門書を得意とする作家・木暮太一さんが、文章力を身に付けるためにはどうすればよいかをお伝えします!


〔PHOTO〕gettyimages

わかりやすい文章を書くためには、「文章構造をわかりやすくすること」と「一文一文をわかりやすくすること」の両方が必要です。そしてこの「一文一文をわかりやすくする」には、「言いたいことをわかりやすく表現する」ということも含まれています。

言葉が明確でも、「で、結局あなたは何をしたいのでしょうか?」と聞きたくなる文章を多く見かけます。日本には察し合う文化があるため、意図や依頼事項を明確に表現しないことがあります。それはそれで奥ゆかしい文化ですが、「わかりやすさ」の視点では裏目に出てしまうことがあります。

今日はそんなテーマで「文章力アップのポイント」を解説して行きます。

伝えたいことをストレートに書く

「分かりやすい文章」とは、書き手が伝えたいことが「分かりやすい」ということですね。つまり、意図を分かりやすく書かないと意味がありません。「文の構造」と「文章の構造」を分かりやすくしても、すぐに分かるように書かなければ、意味がありません。

そのためには、「伝えたいことをストレートに書く」ことが求められます。これは「表現力」というより、それ以前の「意志表示」の問題です。

婉曲的な表現をしない

日本人は、あまり表現がうまくないといわれます。「以心伝心」は得意ですが、言いたいことを言葉で伝えることを苦手としている人が多いようです。また、「ズバッと」直接的に表現するのではなく、「こちらの意図をくみ取ってね」と言いたげな文章をみかけることもしばしばあります。

しかし、それをやってしてしまうと「分かりづらい文章」になってしまいます。

会話であれば、雰囲気や相手の顔色から、意図をくみ取ることができます。しかし、文章だけで読み手に雰囲気を感じ取ってもらうのは、かなり難解な技術です。文章は、文字通り「言葉だけ」で伝えなければいけないので、話し言葉と同じように考えてはいけないのです。

話し言葉では、婉曲的に表現する方がいい場合があります。ストレートに言いきること言葉が強くなり、とげとげしくなったり、相手の反発を招いたりするからです。

しかし、書き言葉では、それと同じように考えてはいけません。書き言葉ではストレートに、言いたいことを書くべきです。話し言葉と同じような婉曲的な表現をしていると、逆に伝わりづらく、読み手をイラつかせてしまうでしょう。

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「そういう解釈がなされるのも無理はないと感じてしまう」→「そう解釈されてしまう」
「その可能性もなくはない」→「その可能性もある」
「○○さんがおっしゃったことは、一理あるとは思っていますし、本質的にはそうあるべきだと思うんですが、今回の事例に関しては、どうしてももろ手を挙げて賛成とは言えない状況にあることをご理解ください」→「わたしは○○さんとは別の意見です」
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また、表現が遠まわし過ぎて、意味が全く分からなくなってしまうこともあります。これはある政治家が実際に発言したコメントです。

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もはやそれが妥当でないことは十分な蓋然性をもって認められると判断しておかしくない
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なお、「蓋然性」とは、「可能性」「確実性」という意味です。つまりこの人が言いたいのは、

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もはやそれが妥当でないことは十分な蓋然性をもって認められると判断しておかしくない
 ↓
それが妥当でないことは、「十分確実だと思われる」と判断していい
 ↓
それが妥当でないことは、ほぼ確実である
 ↓
それは妥当ではない
 ↓
それは間違っている
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と書きたいだけなのです。「それは間違っている」とストレートに書いた方が圧倒的に分かりやすいですね。

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木暮太一の「経済の仕組み」

木暮太一

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