文章力は、伝達力の基本」【第12回】文章を短くわかりやすくする方法

「日本人が日本語の文章を書くための文章力は、わざわざ身につけなくてもよい」は誤解です。子どものころに「文章を書く」という指導をきちんと受けてこなかった私たちに、入門書を得意とする作家・木暮太一さんが、文章力を身に付けるためにはどうすればよいかをお伝えします!


〔PHOTO〕gettyimages

前回、「わかりやすい文章を書きたければ、とにかく一文を短くすればいい」という話をしました。今回もそのメッセージは変わりません。

今回は、文章を短くするにあたり、「そうはいっても、うまくできない・・・」とみなさんが感じているポイントを解説し、短く書く方法を解説します。

修飾語を入れずに書く

「修飾語・修飾語句の入れすぎ」で、文章が長くなっているケースもあります。文章だけで自分が伝えたいことを表現しようとすると、どうしても様々な「描写」や「説明書き」を盛り込みたくなります。気持ちは分かりますが、それらを盛り込むと当然、文章は長くなり、「主語と述語の関係」がつかみづらくなります。

======
昨日の午後に先日作ったばかりの新しいクレジットカードで買った赤い傷一つないきれいな新しいパソコンを持って一つ先の角にあるお金が全然なかった学生のころからずっと好きだったラーメン屋の代わりに先月新しくできた新規オープンの喫茶店に出かけた。
======

じっくり整理して読めば理解できます。しかし、じっくり考えないと理解できませんね。修飾語が分かりづらくしているのです。

この問題への対処方法は2つあります。

(1)まず何も修飾語句を入れないで文を書き、どうしても必要な修飾語句のみを追加する
(2)主語&述語だけで文章を区切り、改めて補足として修飾語を書く

(1)まず何も修飾語句を入れないで文を書き、どうしても必要な修飾語句のみを追加する

======
②元の文章
 ↓
②全て修飾語句を削除する
「昨日の午後にパソコンを持って喫茶店に出かけた」
 ↓
③絶対必要なものだけ追加する
「昨日の午後に先日買った新しいパソコンを持って一つ先の角にある新しくできた喫茶店に出かけた」
======

ここで元の文章と比較してください。書き手は「必要だから」と思って、いろいろな修飾語を入れたのでしょう。しかし、それらを削ったら意図が伝わらないか、間違って解釈される可能性があるか、を考えてみると、そうでもなさそうです。

「入れる前提」で考えてしまうと、どれも必要に思えてしまいます。しかし一旦全て削除してからどうしても必要なものだけを入れるという目で見てみると、意外に少ない言葉で足りることが理解できると思います。

(2)主語&述語だけで文章を区切り、改めて補足として修飾語を書く

まず「何も入れない前提」で考え、必要な語句だけを追加します。ここでもし、「絶対必要な説明書き」が長くなってしまったらどうすればいいでしょうか?

さきほどの文章で考えると、

・自分でクレジットカードを作り、初めて大きい買い物をしたことを伝えたいので、「作ったばかりの新しいクレジットカード」と書かなければいけない
・いままでと違うことをしたかったと伝えたいので、「新しくできた喫茶店」という語句は外せない
・身近な体験ということも伝えたいので「一つ先の角に」という内容も残しておきたい

といった想いがあったとします。つまり、これらを省くことはできないわけです。

その場合、まず、主語と述語だけを一文で言い切ります。その後に、必要な修飾語句を入れます。

======
(改善例)
昨日の午後に先日買った新しいパソコンを持って、一つ先の角に新しくできた喫茶店に出かけた。作ったばかりのクレジットカードで初めてした「大きな買い物」だったので、ちょっとそこまで、持って出かけたかったのだ。
======

このようにすれば、何が言いたいかを明確にしたうえで、説明書きを付け加えられます。すっきり表現したうえで、誤解も防ぎ、補足もできるのです。この書き方は、あらゆる場面で使えて便利ですから、ぜひ活用してみてください。

前置きはいらない

社会人になると、書面の書き方を教わります。社外に出す「正式文書」の書き方も教わるでしょう。

ビジネス文書では、「○○の候、貴社ますますご繁栄のこととお喜び申し上げます」「桜の季節になりましたが、皆様におかれましては・・・」のような書きだしをよく目にします。いきなり主題に入らず、前置きを書くことになっているわけです。

そのため、「前置きを書かなければいけない」「いきなり主題に入ってはいけない」と暗黙的に考えている方がいらっしゃるかもしれません。しかしそれは誤解です。

前置きは、主題とは全く関係のない、いわば「無駄な」文章です。冠婚葬祭など、形式が重んじられる場面では添えるべきですが、ビジネスシーンではほとんどの場合、不要です。「いつも必ず前置きを書かなければいけない」ということではないのです。

むしろいきなり本題に入った方がすっきりして、分かりやすいと思われるケースもありますので、臨機応変に考えるべきです。大事なのは、「必ずしもなくていい」と考えることです。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

現代ビジネス

この連載について

初回を読む
木暮太一の「経済の仕組み」

木暮太一

10万部超のベストセラー『今まで一番やさしい経済の教科書』などのビジネス書で知られる著者が、なんとなく分かったつもりになっていた「経済の仕組み」を懇切丁寧に解説します。ビジネスパーソンの基礎力を高めたいなら必読です。

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント