私はシャルリー」と言えないあなたへ—フランス史上最大の行進に参加して見えたこと

パリの新聞社「シャルリー・エブド」が襲撃された事件を受け、「私はシャルリー」という合い言葉で連帯を示す運動が広まっています。パリ近郊在住の牧村朝子さんは、街が「私はシャルリー」であふれかえっているなか、「私はムスリム(イスラム教徒)」をいうプラカードを持った女性を見かけたそうです。フランスの人々は実際、どのような思いを抱いているのでしょうか。

“「共和国行進」開催のため 交通機関は無料となります 1月11日 日曜日”

パリ・モンパルナス駅。

電源が落とされ、開け放たれた自動改札を、妻と私は足早に通り抜けました。テロに屈しない意志を表明する、「共和国行進」の列に加わるためです。

「フランスのために歩く」という気持ちはありませんでした。フランス人である妻にも、日本人である私にも。私たちは西洋も東洋もなく、ただ、人を暴力で黙らせてはならないという思いだけを持って歩きたかったのです。

フランスでは今、テロの標的とされた風刺週刊紙シャルリー・エブドの痛みを自分のものとして引き受ける合言葉「私はシャルリー(Je suis Charlie)」が広がっています。しかし、私たちはあえてそれを身に着けませんでした。道行く人々の多くが、それどころか凱旋門やピザ屋の店先までもが、「私はシャルリー」を掲げる中であっても。

周りには「シャルリー、シャルリー」と声高に議論する声や、口紅で「JSC※ 私はシャルリー、の頭文字)」をお互いの頬に描きあう若い女の子たちの姿。そんな中で「私はシャルリー」を掲げずに歩く道は、なんだか、みんなが着ている制服を着ないで歩く通学路みたいでした。

そうしてホームへ向かう人ごみの中、ある若い女性が目に留まりました。彼女は手にした大きなプラカードを気にかけながら、たった一人で階段を上って行きます。

足元が悪い中にも関わらず、彼女は周りをちらちらと気にしていました。一度壁側に向けたそのプラカードを、人ごみに向けて上下さかさまに持ち直して。その文字は、はっきりとこう読めました。

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ハッピーエンドに殺されない

牧村朝子

性のことは、人生のこと。フランスでの国際同性結婚や、アメリカでのLGBTsコミュニティ取材などを経て、愛と性のことについて書き続ける文筆家の牧村朝子さんが、cakes読者のみなさんからの投稿に答えます。2014年から、200件を超える...もっと読む

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コメント

shi_hou10  “私はシャルリーではない。私はアフメド、死んだ警察官。私の信仰と文化をバカにしたシャルリーの、その権利を守るために私は死んだ。” 4年以上前 replyretweetfavorite

riotoqll "「デモに参加するなんて、1968年の五月革命以来だなあ」" ― 4年以上前 replyretweetfavorite

Chidorirecords 「アフメドさんはムスリムでした。つまりイスラム教徒である警察官が、イスラム教の開祖や教典を風刺画に描いたシャルリー・エブド紙の本社を守って亡くなったのです」 フランス史上最大の行進に参加して見えたこと|cakes(ケイクス) https://t.co/iFMcSiu3Do 4年以上前 replyretweetfavorite

matsumoto_hs どんな事柄でも必ず自分とは違う見方がある。しかも無数にある。 https://t.co/fqlFYxBzAZ 4年以上前 replyretweetfavorite