小室哲哉ファミリーの大仕事で発生したハプニング

起業後すぐに仕事が殺到し、社内は目が回るほど忙しい状況に。利益が出すぎて、税理士からは「黒字倒産」するよと忠告されるほどです。そんな中、あの有名アーティストとの重大な仕事を放り出した社員が……堀江さんはどのように窮地を脱したのでしょうか? 堀江貴文さんが自身の激動の半生を記した『我が闘争』(幻冬舎)、cakesでは内容の一部を特別公開いたします。

売り上げ、社員ともに急増

 仕事はどんどん入ってくる。

 そもそも「起業してから仕事をもらう」というよりも「仕事があるから起業した」という感覚だった。

 そして開業後間もなく、「仕事がありすぎて回らない」という状況に陥る。

 有限会社設立時のメンバーは僕と有馬さん、そして松尾さんの3人。5月には僕が誘ってフィクスでバイトしていた和田さんを招き、6月にはまた新しいバイトを採用するという有様だった。

 最初の6畳程度のオフィスではすぐに手狭になり、半年も経たないうちに次の場所に引っ越すことになる。

 引っ越しといっても同じビルの同じフロア。なんと隣りの部屋である。20畳ほどの部屋が空いたというのでそこに移転することに。

 仕事も人もどんどん増えていって、結局そこはバイトも含めて15人くらいがあくせくと働くオフィスとなった。

 あまりに忙しくて家に帰れなかった僕は、オフィスで寝泊まりするのが常だった。6畳の時はベッドを置けなかったので、眠くなったらソファにごろり。

 引っ越してから仮眠用ベッドを導入し、より快適な24時間会社ライフを送っていた。

 西片のアパートはまだ借りたままで、ルームシェアをしていた中谷君がほとんど一人で住んでいるような状態。僕は会社と西片をたまに車で行き来して、着替えを運んだりしていた。

 しかしその中谷君が大学院に行くため駒場に移るので、西片を出ると言う。そうなると西片の家賃12万円を自分一人で払わなくてはいけない。

 起業するのにすべてのお金を使ってしまった僕に、そんなお金はないのである。

 いちいち六本木と西片を往復するのも面倒なので、六本木近くで物件を探してみたのだが、アホみたいな家賃なので断念せざるを得なかった。

 そこで母親が勤務している会社のオーナーが都内にマンションを持っていると聞いて、その一部屋を紹介してもらうことになった。

 場所は銀座。と言ってもほとんど新橋と言った方がいい銀座八丁目。

 部屋の広さは6畳ということになっていたが、実際は4畳半。家賃は確か6、7万円でなんとか払える値段だ。狭さはもちろん気になるけど、まあどうせたまに帰ってくるだけの、倉庫みたいな場所だしいいかなと思い契約した。

 なぜ仕事が回らないほど忙しい会社の社長が、そんな安い物件に住まないといけないのかというと、その頃の僕の給料は月額20万円と決められていたのである。決められてというか、決めたのは僕なのだけれど。有馬さんや松尾さんも同じような額だったはずだ。

 起業時に受けていた仕事は忙しいながらも順調にこなしていたし、夕刊フジのサーバー管理や富士フイルムのサイトの更新などのレギュラー仕事だけでも月に200万円ほどの売り上げがあった。それに加えて、その年の後半からはどんどんスポットの仕事も舞い込んで来たので、初年度の売り上げは数千万円に及ぶことになった。

 月額20万円という給料は創業時のスケールで設定したもので、僕はあまりに忙しすぎて、それを見直すような余裕がなかったのである。

 決算が近づいたある日、税理士の宮内氏から忠告される。

「社長、このまま給料を安くしておくと黒字倒産しちゃうよ」

「黒字倒産」の意味が分からない僕は、こんなに仕事が順調なのに倒産するなんてありえないと焦り、急いで自分と社員の給料を上げることにした。

バックレ社員と追い込まれた仕事

 96年の年末の慌ただしさは忘れることができない。既にレギュラーの仕事で目が回るほど忙しかったのに加えて、年末に二つの大きな仕事を抱えていた。

 一つは博報堂から請け負った電子年賀状。お年玉付きの電子年賀状のシステムを作る仕事だ。このシステムを作った当時、今はみんなが普通にやっている負荷分散も、まだ手探りの状態だった。サーバーが落ちないように、この部分は別のサーバーにしてというノウハウを実践の中で覚えていった。

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ぼくはいつも闘ってきた—堀江貴文自叙伝

堀江貴文

23歳で起業してから寸暇を惜しんで働き、さまざまな事業をたちあげてきた堀江貴文さん。しかし、2006年1月に逮捕され、2011年6月からの約1年9ヶ月を刑務所で過ごすことになります。自分の好きなことを自由にできなくなったその期間に、堀...もっと読む

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net_success_law 起業後すぐに次から次へと仕事が舞い込む中、起こったハプニングとは…? 5年以上前 replyretweetfavorite

RT8_2K もっと読みたい 6年弱前 replyretweetfavorite