橋本愛「最初は『この子バカなのかな』って思った」

大森靖子さんが主題歌を担当し、橋本愛さん、蒼波純さん(ミスiD2015)のW主演で作られた映画『ワンダフルワールドエンド』。橋本さんが売れない撮影会モデルを、蒼波さんがそのファンを演じる、ガールズムービーです。インタビュー第2回目は、大森さんの歌う主題歌『呪いは水色』について、そして蒼波さんの驚くべき個性について語ってもらいました。

橋本愛がいま輝いてる3つの理由

若手演技派として高い評価!
「日本アカデミー賞」の優秀新人俳優賞や、「ヨコハマ映画祭」の最優秀新人賞など、主だった新人賞のタイトルをいくつも受賞。これからの映画やドラマ界を支える若手として、期待されています。

圧倒的な存在感で演じる、ひろい役柄
役者としてのキャリア5年目にして、すでに20本以上の映画に出演している橋本さん。役柄も、デビュー作『Give and Go』で演じた難聴の少女から、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』でのご当地アイドル役まで幅広く、ミステリアスな存在感を発揮しながらの自然な演技が、多くの観客の心をつかんでいます。

カルチャーに対する感度の高さ
映画や音楽、漫画などに触れることが大好きだという橋本さん。マイナーな作品や、最先端のアーティストにも目をつける感度の高さは、カルチャーへの理解の深さを感じさせます。

みんな、いいことをしようとして厄介になってる

— 今回の映画では、主題歌の他にも至るところで大森靖子さんの音楽が流れますね。ガーリーだけど毒のある雰囲気をもたらしています。

橋本愛(以下、橋本) はい。やっぱり、この映画は大森さんの音楽ありきで成り立っているものなんだなって思います。いろんなところで、大森さんのサウンドに助けられた、というか、サウンドがあってはじめて成立したシーンというものがあるので。

— 主題歌の『呪いは水色』の印象は?

橋本 ちゃんと音源で聴いたのはこの映画ができてからなんですけど、聴いてすぐ「あぁ、よかったな」って思いました。『呪いは水色』はすごく壮大な曲だから、物語がどう転んでも落とし前をつけてくれると思ったんです。大森さんの歌声が、すべてをまるごと包んでくれるというか。すくい上げてくれたような気がして。
 あの、この映画って、見ていてすごく痛々しい話じゃなかったですか?

— そうですね。主人公の詩織が傷つくたびに、胸が締め付けられる思いがしました。途中からは、「この子には幸せになってほしい」っていう気持ちしかなかった。

橋本 はい。

— だけど、最後にあの『呪いは水色』が流れた瞬間、詩織の人生が肯定されたような気がしたんですね。

橋本 よかった。ありがとう……ありがとうございます。あの曲が最後にあることで、見てくれた人に痛みや絶望感じゃなくて、希望を感じてもらえればなって思ってたので、素直にうれしいです。
 私は最初に脚本を読んだ時に、詩織のことを「この子はバカなのかな?」って思ったんですよ。

— 確かに、売れないモデルにしがみつく詩織の姿は、ちょっと痛々しいですね。

橋本 そう。それでツイキャスやって、「脱いで」っていうコメントにキレたり。あと、そこで選ぶ言葉もバカみたいで。「この子はすごく客観性のない子なんだな」って思った。
 でも、監督から「この子は本気で生きてるから」って言われたんです。だから、私も本気で真っ直ぐな詩織を演じたし、そんな詩織を愛おしい存在に思ってもらいたいなって思っていたので。今みたいに、「この子には幸せになってほしい」って応援してもらえて、よかったです。うれしいです。

— それと、この映画には、本当に悪い人って出てこないんですよね。詩織に“脱ぎ”の仕事をすすめる事務所の社長も、詩織に気をつかいながら話してる感じがあって、すごくリアルでした。

橋本 あぁ〜、ああいう人っていますよねぇ……。

— すごく嫌そうな言い方ですね(笑)。

橋本 嫌っていうか、もう“駄目”ですね。ああいう悪気のないところが、私はもう駄目です。

— ははは。

橋本 詩織とぐずぐず付き合ってる彼氏も、駄目だった。結局、みんないいことをしようとして、逆に厄介なことになっちゃってるなと思いました。

純ちゃんは、人が土足で踏み込んでも汚れない

— W主演の蒼波純さんに関してはどうですか? 「ミスiD2015」のグランプリで、撮影当時は12歳、演技経験ゼロでしたが。

橋本 今回の映画では、純ちゃんの笑顔を引き出せたのがよかったです(笑)。ゲームセンターでふたりで遊ぶシーンがあるんですけど、ほぼアドリブだったので、私は純ちゃんをどれだけ笑わせられるかっていうことに尽力しました。

— 一般のお客さんの目もあるなかで、素の笑顔を引き出すのはたしかに大変ですね。

橋本 あとで聞いたら、純ちゃんも「あのシーンがよかった」って言ってくれたので、安心しましたね。まあ、私が先輩だから、気をつかって一緒に盛り上がってくれたっていう部分もあるかもしれないけど(笑)。

— 蒼波さんって、一見、本当に何も知らない子供のように見えるんですが、実は声優志望でオタクっぽい内面も持つ。独特なキャラクターですよね。

橋本 そうですね。すごくピュアなことは間違いないんですけど、人が土足で踏み込んでも絶対に汚れない、確固とした強さも持っている人だと私は思っていて。
 この映画の撮影に入る前から、純ちゃんのことは知っているんですけど、最初はちょっとビビってたんですよ。

— そうなんですか?

橋本 「私がこの子に関わることによって、この子に何か影響を与えちゃうのが嫌だな」って。でも、そんな単純な人じゃありませんでした。私ごときが影響を及ぼせないってことがわかった(笑)。

— 自分の芯がある、ということですかね。

橋本 そういうことなんですかね。純ちゃんは、自分の中に「教養」みたいなものがあるというか。それがあることが大きいと思いますね。独特で、唯一無二の人だと思います。

— 橋本さん自身は、人に影響を受けるタイプですか?

橋本 うーん、そうですね。影響というより、私は「自分の好きな人全員になりたい」っていう願望があるんですよ。自分という個人はいらないから、他人になりたい、みたいな。そういう願望が自分にあるっていうことは、最近気づいたんですけど。

— それは役者としてのお仕事に関係しますか?

橋本 関係なく、ですね。結果的に仕事につながる部分はあるかもしれないけど。

— 他人になる、というのは、具体的にはどういうことですか?

橋本 「この人になりたい」っていう人がひとり出てきたら、その人になるためのプロセスを自分の中で歩んでいくんです。その途中で別の好きな人を見つけたら、そっちに方向を変える、みたいな。そんなことやってると、ほんとに私という個人が死んでいくんですよ。

— 「自分」みたいなものがわずらわしいから、捨てたいということですか?

橋本 わずらわしいわけではないんですけど。うーん。

— 特に自分には執着する理由がない、ということ?

橋本 そうですね。それはあるかもしれない。

— 自分よりは、好きな他人になれた方が、単純に楽しいとか。

橋本 それは楽しいんじゃないですかねぇ。

— ちなみに、今、この人になりたいっていう人は?

橋本 それは言えないですよ(笑)。ある漫画の主人公の女の子なんですけど……ないしょです。

— じゃあ、これ以上聞かないことにします(笑)。


さらなるインタビューが、dmenuの『IMAZINE』でつづいています。
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橋本愛(はしもと・あい)

1996年1月12日生まれ、熊本県出身。2008年、現在の所属事務所が主催した「HUAHUAオーディション」でグランプリを受賞し、芸能界へ。2009年、ファッション誌『セブンティーン』の主催するミス・セブンティーンコンテストでグランプリを受賞し、モデルデビュー。2009年、映画『Give and Go』で映画初出演・初主演。以後、『告白』『桐島、部活やめるってよ。』『寄生獣』などの話題作や、朝の連続テレビ小説『あまちゃん』などで注目を浴びる。

構成:西中賢治



『ワンダフル・ワールドエンド』
2015年1月17日(土)-新宿武蔵野館ほか、全国順次公開!
橋本愛 蒼波純 稲葉友
利重剛 町田マリー/大森靖子
監督・脚本:松居大悟 音楽・劇中・主題歌:大森靖子

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ono_yasu |いま輝いているひと。 @cakes_PR “自分という個人はいらないから、他人になりたい”って感覚、わかるなー。 https://t.co/lhhnyT6k2e 4年以上前 replyretweetfavorite

abgk 面白いな、 4年以上前 replyretweetfavorite

asobi1 cakesインタビューで 4年以上前 replyretweetfavorite

note_PR 【橋本愛インタビュー】売れないモデル・詩織を演じた橋本愛。詩織のことを「この子はバカなのかな?」と思った理由とは? http://t.co/m88NL8k4Ek 4年以上前 replyretweetfavorite