可視化」は食文化にどう影響しているか? —佐々木俊尚(ITジャーナリスト)vol.3

家での肉の最高においしい食べ方を追求した肉マニア本『大人の肉ドリル』が好評の松浦達也さんが、気になる「食」の人、「肉」の人に会いに行く新連載。ITジャーナリストの佐々木俊尚さんが作ってくださった料理は、豚バラと大根の、シンプルで優しいスープでした。スープや煮込み料理を作るうえで、最も大切な作業とは? また話題は、野生肉からネットで炎上したさまざまな食肉問題に進展しました。

スープ作りで大切なこと

松浦達也(以下、松浦) うわぁ……。やさしくて体にしみますね。こういう味、好きです。料理名は?

佐々木俊尚(以下、佐々木) 「豚バラと大根の和風スープ」でしょうか。そのまんまですけど(笑)。

松浦 くどくないけど豚の脂のコクも効いていて、老人食っぽいわけでもない(笑)。くわしい作り方をうかがってもいいですか?

佐々木 たいしたことはしていないですよ。昆布と鰹で取った出汁に、サイコロ状に角切りにした皮つき大根を放り込む。そこに一口サイズに切った豚バラのスライスを加えて、ときどきアクを取りながら煮込むだけ。大根がやわらかくなったら、薄口醤油とみりんで味つけをして、最後に水溶き片栗粉でとろみをつけて、あさつきを散らす。

松浦 聞くと簡単なんですが、僕が作るとこの味にはならないんだろうなあ……。

佐々木 家庭の料理って材料や手順が同じでも、作り手によって味が変わるものですから。不思議ですよね。

松浦 佐々木さんの調理は「豚の脂を大根に吸わせる」「出汁で大根をやわらかくする」など、手順ごとの目的が明確ですよね。

佐々木 スープだと具と水分のバランスも気を使いますね。水分が多いと寂しいスープになっちゃうし、水分が少ないとただの煮物(笑)。あと見栄えの問題かもしれないけど、やっぱりアクを取るのは大切な気がします。

松浦 やはりそうですか。去年の夏の『dancyu』で「考えられる限りの全パターンで、カレーを作ってみる」という企画をやったことがあって、そのときアク取りの大切さを改めて思い知らされました。他の材料や手順を一切変えずに「アクを取りまくる」「ときどき取る」「取らない」を比較したら「取りまくる」が圧倒的においしかったんです。

佐々木 アクは不思議ですよね。最初、表面にぶくぶくしてたアクがいつの間にかどこかに行ってしまったりする。

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たまごはん/にくごはん

松浦達也

人は肉によってのみ生きるものではない。もちろん卵によってのみ生きるものでもない。誰かと交わす、ひとつひとつの言葉によって生かされるのだ――。と誰が言ったか言わないか。食べるも口ならしゃべるも口。酸いも甘いも卵も肉も噛...もっと読む

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コメント

kartofeli 「人間は他の生き物の命を奪わなければ生きられない生き物だということがなぜわからないのか」「自分の身体感覚や日常の向こうにまで想像力が届かないタイプの方なんじゃないでしょうか」 約5年前 replyretweetfavorite

babakikaku_m cakesの対談連載、佐々木 俊尚さん編Vol.3、公開されました。やっと食べられる!  約5年前 replyretweetfavorite