前回紹介した文献データベースに適切な検索文を入れれば、エビデンスを探すことができる。
題材は何でもいいのだが、たとえばあなたが日本経済の問題の1つとして雇用対策をどう解決すればいいのかについて興味があったとしよう。失業やワーキングプアーといった雇用問題について、政治家やテレビのコメンテーターはしばしば「問題だ」と発言したり、「頑張った人が報われる社会を」といった抽象的なお題目を唱えるわけだが、果たして政府はどのような政策でこの問題を解決すればいいのだろうか。その答えをエビデンスから探ってみよう。
日本語文献を探してみよう
先ほどのエビデンスのヒエラルキーに沿って、まず探すべきは系統的レビューの結果を探したい。
試しにJ-STAGEから日本語の文献を探してみよう。検索すべきトピックは「雇用 政策」、それに加えて系統的レビューやメタアナリシスを示す単語である、「系統的レビュー」「システマティックレビュー」「システマチックレビュー」「メタアナリシス」「メタ解析」のいずれかを含む論文を実際に検索してみた。その結果得られた全文献のタイトルは次の表に示す通りである。
図表1 日本語文献の検索結果①
タイトルだけ見てもわかるように、この中にはまったく雇用関係の政策を系統的にレビューしましたという研究はない。
では次のエビデンスレベルであるランダム化比較実験ではどうだろう? ランダム化という言葉を使えばおそらくこうした研究が見つかるはずである。
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