子供のころ、自分を「ロボット」だと思っていた— ロボットは人間を超えた vol.2

生身の人間と寸分違わないアンドロイドの開発を続ける、ロボット工学者の石黒浩さん。自由で率直な発言を連発する石黒さんは、ご両親に「人の気持ちを大事にしなさい」と言われた経験が、今のロボット研究に生きているのだとか。果たしてその理由とは?

感情のプログラミング

— 怒ることができなかった? それは、何歳くらいのことですか?

石黒 小中学校のころに自覚しました。大学で助手をやるまで「怒る」ということがなかったんですよね。人がなぜ怒るのか、不思議でしょうがなかった。「怒る」なんてまったく不毛なんですよ。お腹減るし、エネルギー使うし……そんな暇なことよくやってるな、と思っていたんですよね。でも、大勢の人間をたばねるときには怒ることも必要で、だからがんばって練習しました。

— その話、ぼくにはとても共感できます。実はぼくも同じようにあまり怒ることがないのですが、その理由というのがまったく同じで、「怒る」なんて無駄だと思っているからです。しかし……練習すれば怒れるものなんでしょうか? あと、それって本当の感情といえますかね?

石黒 心理学の下條先生(カリフォルニア工科大学教授 下條伸輔)が、「感じるから行動するのと、行動するから感じるのと、どっちが先か? それは両方だ」という話をされていました。イチローは、生まれてすぐ野球やりたい、と言ったわけじゃないし、生まれてすぐ野球が好きだって言ったわけではない。行動してると、感情は自然に芽生えてくるものなんです。

— なるほど。僕は、先生と同じで、人にもともと心があるとは思っていないほうなのですが、それでも「心」とか「気持ち」って幼少期にプログラムされるじゃないですか。石黒先生がそれをうまくわからなかったのは、教育のせいとか、そういうのもあるんですか?

石黒 かもしれないですね。僕はね、今でもちょっと覚えているのは、小学校5年くらいのときに、親に「人の気持ちを大事にしなさい」って言われて。めちゃめちゃドッキリしたんですよ。

— それはどうしてですか?

石黒 だって、わからなかったから。「人」、「気持ち」、「考える」。どれもなに一つわからなかったです。

— そう言われてみると……たしかにわからない。

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“すこしふしぎ”な科学ルポ

海猫沢めろん

漫画家・藤子不二雄氏はかつて、SFを「すこし・ふしぎ」の略だと言いました。そして現在。臨機応変に受け答えするSiri、人間と互角以上の勝負を展開する将棋ソフト、歌うバーチャルアイドル初音ミク、若い女性にしか見えないヒューマノイド……世...もっと読む

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Singulith >「親に「人の気持ちを大事にしなさい」って言われて。めちゃめちゃドッキリしたんですよ。  —— それはどうしてですか?  石黒 だって、わからなかったから。「人」、「気持ち」、「考える」。どれもなに一つわからなかったです」  https://t.co/XFZTofdCzA 約3年前 replyretweetfavorite

uminekozawa 人と機械の境界を探るルポエッセイ 4年以上前 replyretweetfavorite

akiramorita すごいこというなあ。『 5年弱前 replyretweetfavorite

yukihgs "人間が唯一生きている意味はね、自分が生きている意味を探すということ以外はなにもないと思うんです。最初からある価値なんてないんだから、努力をやめたいと言う人は、死にたいと言っているようにも聞こえる。" あー| http://t.co/XOzoa6zDdy 5年弱前 replyretweetfavorite