紅白にふさわしいのはMayJ.に決まってるじゃないか

武田砂鉄さんの芸能評連載、年内最後の更新は、大晦日の紅白歌合戦への出場が決まっている歌手のMayJ.を取り上げます。大ヒットした映画『アナと雪の女王』のエンドテーマ「レット・イット・ゴー」を歌っていたことで、今年メディアでひっぱりだこだった彼女ですが、どうしてか批判も多いようで……。今後の紅白を考える上でも重要なMayJ.評です!

「すべての創造は模倣から出発する」

ローリング・ストーンズのデビューシングルはチャック・ベリーのカバー曲で、ファースト・アルバムの大半もカバー曲だった。レッド・ツェッペリンは当初「黒人音楽を盗んだ」と言われ、エアロスミスはデビューからしばらくはストーンズの真似事に過ぎないと断じられていた。「すべての創造は模倣から出発する」とはよく聞く名言だが、この発言主である画家・池田満寿夫はその名言を「創造が真の意味の創造であるためには、その創造のための模倣が、創造的模倣でなければならない」と続けている。先のバンドの例しかり、結局この名言って、後々から歴史を振り返った時に初めて「あの模倣は創造的な模倣だったんだ」と使えるにすぎず、今まさに行なわれている模倣について、創造的かどうかを測定するのは難しい。

ボンカレーを出し続けるカレー屋は潰れない?

MayJ.は「ってゆうか、結局カバー曲だけじゃん」とあちこちから野次られても、「オリジナル曲ではなく、カバー曲を求められているのだとしたら、それに応えたいって思います」「ネガティブな意見でもいいんです。それは歌が届いていることの表れ」(TVBros・11月22日号)と快活な返答を繰り返す。彼女は現在の模倣を創造的模倣に繋げていく気があるのかどうか。カバー曲だけじゃん、というヒソヒソ話に向かって、それではみなさんカバー曲を聞いてください、と攻めていく現在の姿勢ってなかなかタフだ。この店のカレー、レトルトらしいぜ、という文句に対して「そうなんです」とボンカレーを出し続けるカレー屋はタフだ。意外とその店は、こだわりのルーを謳う店よりも長持ちしたりするのだろうか。

そのうちにこだわりのルーになると言い張る
この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

cakesの人気連載「ワダアキ考」、5人の書き下ろしを加えてついに書籍化!!

この連載について

初回を読む
ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

ngataku13 興味深い 4年弱前 replyretweetfavorite

k40r1 --ほんとこれ、May.Jかわいそうよな。公式エンディング歌手なのに。 4年弱前 replyretweetfavorite

tomo__shiba 結論:今年の紅白も楽しみ→ 4年弱前 replyretweetfavorite

hemm "この店のカレー、レトルトらしいぜ、という文句に対して「そうなんです」とボンカレーを出し続けるカレー屋" ここがメイジェイの魅力だよなぁ。成長するとしたらボンカレーのままトッピングを増やしてく感じ。 4年弱前 replyretweetfavorite