IQすなわち知能指数という言葉は小学生の読む漫画の中にも登場するが、ほとんどの人はこの指標の意味をわかっていないのではないだろうか。
フィクションの世界における「高いIQを持つキャラクター」の描かれ方は、「頭の切れる天才」であったり、一方で「頭は切れるが性格的な欠陥を持つ人間」であったりする。おそらくこれは現実におけるIQのイメージを反映しているのだろう。アインシュタインのIQはすごく高いらしい、といった話が話題になることもあれば、人間の価値はIQじゃ測れないとか、IQの測定は差別の源であるとかいう言説を耳にすることもある。一昔前にはIQよりもEQ(心の知能指数)が重要だなんていう本が売れたりもした。
だが、身長や体重、血圧のように物理的に測定できるものと違って、知能というものは見たり触れたりできるものではない。知能とはそもそも何で、いったいどうすれば測れるというのだろうか。そしてなぜ、現在用いられているIQテストのようなもので知能は測定できたというのだろうか。こうしたことを理解せずにIQの高さをありがたがるのも、反対にIQという指標自体を攻撃するのも滑稽なことである。
IQとは何かを理解しようとすれば、心理学者がこの100年で積み重ねてきた統計手法について学べばいい。それが今日のテーマだ。
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