新しい桃太郎のおはなし—『パスティス』中島京子より

パスティーシュ小説集『パスティス』(筑摩書房)を出版された中島京子さん。その中から「新しい桃太郎のおはなし」を特別にお届けします。

 おじいさんとおばあさんは、その村に二人だけで暮らしていた。

 おばあさんが川へ洗濯に行くと、桃色のプラスチックケースが、川をゆっくり流れてきた。中にはかわいらしい男の子の赤ん坊が入っていた。

 ずいぶん長いこと子供を見たことがなかったので、おばあさんは嬉しくなって家にその子を連れて帰った。そして、どうしても自分の手で育てると言った。柴刈りから帰ったおじいさんは反対したが、男の子の寝顔を見ると手放したくなくなった。二人はこの男の子を「桃太郎」と名付けて育てることにした。

 桃太郎はすくすく成長した。薪割りの手伝いもできるようになった。ある日、おじいさんは桃太郎を呼んで言った。

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中島京子

11月12日にパスティーシュ小説集『パスティス』(筑摩書房)を出版された中島京子さん。二次創作をテーマに短篇小説を公募中のプロジェクト・ブックショート(ショートフィルムとつながる文学賞)が、その創作の秘密を教えていただくべく、12月6...もっと読む

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