新訳 世界恋愛詩集

おれもおまえも夢のまた夢」エドガー・アラン・ポー

ひとつの恋が終わるとき、あなたは何を思いますか? 史上初の推理作家とも言われ、詩、怪奇小説、推理小説、SF小説、冒険小説など多くの作品を残しながらも、貧窮のうちに謎の死を遂げたアメリカの文豪エドガー・アラン・ポー。彼の残した詩「A Dream within a Dream」が、菅原さんの手によって、どのように詠み直されるのでしょうか。
詩人天気予報」などで話題の詩人・菅原敏さんが、古今東西の詩人の作品に新訳という名のオマージュを捧げる本連載。気鋭の現代美術家・久保田沙耶さんのアートワークとともにお楽しみください。


おまえのひたいに おれのくちづけ

いま別れのひとときに

ひとこと言わせてくれ

おまえは間違っていなかった

ふたりの日々は 夢だった

けれど

真夜中の闇に 白昼のまぼろしに

希望が消え去ったからといって

ふたりの日々が

意味のない夢だったとは 思わない

ふたりが生きる この世界さえも

すべて 夢のまた夢に すぎないのだから



打ち寄せる波 砕ける響き

そのなかにおれは立ち尽くし

金色の砂を握っている

ふたりの日々を 嘆くほど

音もなく

指の間をさらさらと こぼれ落ち

ひとつぶさえも 残らない

神様 どうして この両手

これほど 何もつかめない

ひとり見つめる 冬の海さえ

すべて 夢のまた夢に すぎないのだろうか



「おれもおまえも夢のまた夢」

エドガー・アラン・ポー(1809~1849)

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新訳 世界恋愛詩集

菅原敏 /久保田沙耶

あまたの恋を書き残してきた、かつての詩人たちに、新訳という名のオマージュを。『新訳 世界恋愛詩集』は気鋭の詩人、菅原敏による新連載。いにしえの恋愛詩の輪郭を、菅原敏のいまの言葉でなぞっていきます。古い詩集に絵の具を落とし、新たな色で輪...もっと読む

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コメント

_yujin https://t.co/eApBsFMJk0 4ヶ月前 replyretweetfavorite

44annatra @book https://t.co/Atb7SCrplW 約2年前 replyretweetfavorite

sugawara_bin 《さよなら日曜日に詩をひとつ》 https://t.co/V6YxLe3XvL 神様どうしてこの両手 これほど何もつかめない 6年弱前 replyretweetfavorite