「意識しないで暮らしているそのまま」を伝えたかった
—— お二人とも、Tokyo SuperStar Awards2014・カルチャー賞の受賞おめでとうございます。
小池みき(以下、小池) ありがとうございます。受賞候補作に入った時点で知っていたんですが、絶対とれるとは思っていなかったから嬉しいです。
牧村朝子(以下、牧村) 私はいけると思っていたわよ。いろいろな方に応援していただいている実感があったもの。たしかに、ブログに漫画の連載を始めた時点では、ここまで来れるとは思っていなかったけど。
—— 『同居人の美少女がレズビアンだった件。』はもともとWEB連載の四コマ漫画でしたね。シェアハウスで生活をともにした小池さんの視点から、牧村さんの人となりや同性婚にまつわるあれこれを描いています。どういった経緯でWEB連載を始められたんですか?
小池 2012年の夏に二人で、新書『百合のリアル』の企画書を星海社の賞に出したんです。選考結果が出るのは年末だったんですが、通る自信があったから、結果を待つ間に牧村朝子の周りにもっと人を集めたいと思ったんですよね。
—— おお、新書の刊行に向けたマーケティングだったのですね。
小池 具体的にはまず、彼女のブログのアクセス数を伸ばすことだろう、と。それである日「まきむぅ(牧村さんの愛称)を主人公にしたマンガを描こうと思うんだけど」って持ちかけたんです。
牧村 実際、マンガを載せ始めてから、ブログのアクセス数が一桁上がるくらい伸びたのよね。じきにマンガの書籍化のお声がけもいただいたし。このTSSAっていう賞は、「非LGBTとLGBTの架け橋となった」人や作品に送られる賞なわけだけれど、そういう意図ってその頃からあったの?
小池 今考えるとあったのかもかもしれない。まきむぅが、女性が好きなことを世間的にカミングアウトしたのが2012年の始めの頃だったでしょ。その頃のまきむぅって、どっちかというと「啓蒙」的なスタイルでブログを書いていたんだよね。そこに4コママンガっていう気軽なコンテンツが入ったら、窓口が広がるよな、っていう考えでした。
牧村 本当、「啓蒙」だったわよね。「みなさんはレズビアンについてご存じないでしょうから、レズビアンタレントである私がLGBTについて説明します」っていう、少しえらそうな目線だった。
でも、そもそも世界は「LGBTの皆さん」と、「LGBTのことを理解していない非LGBTの皆さん」に分かれてなんていないし、そう思っている限りは何を言っても説教じみてしまうんですよね。何より、そういう考え方って他の誰よりも私自身を苦しめていたと思う。今振り返るとよくわかるわ。