坂部三樹郎(ファッション・デザイナー)→猪子寿之(チームラボ代表) Vol.3
「愛にも無限概念は当てはまりますか?」

今回のインタビュアーは、ファッション・デザイナーの坂部三樹郎さん。自身のブランド「ミキオサカベ」はもちろんのこと、さまざまなクリエイターとのコラボレーション・プロジェクト「最前ゼロゼロ」など、ファッションという枠にとどまらない活動を続ける坂部さんがインタビューするのは、"ウルトラテクノロジスト集団"チームラボの代表・猪子寿之さんです。「カンバセーションズ」本サイトでも話題になった人気記事を、3回にわたってお届けします。

なぜ社員が300人もいるんですか?

Q. チームラボという会社も、主観思想や無限概念といった東洋的な考えがベースになっているんですか?

猪子:例えば、チームラボはもともと5人で立ち上げたんですけど、いまは300人くらいいるんですよ。そこには、ノウハウを共有しまくることで生産量を上げていくという考え方がある。これは、もともとひとりからスタートした狩野派が、どんどん増えていったことに近いんです。信長に見出された狩野永徳という天才がいる狩野派ですが、人気が出てきた時に彼らが取った方法論というのが、集団になってもクオリティが同等になるようにノウハウを共有し、工房化していくということだった。西洋で言ったらピカソを増やしていくという考え方。そんなのありえないでしょ(笑)。

Q. つまり入れ替え可能なアートということだったんですね。

猪子:アートが個人の天才性によるものという考え方は有限概念が前提にあるから、狩野派みたいな集団制作に向かうことはないんですよ。でも、日本は天才と言われた人とクオリティが同等になるようにノウハウを共有する方法論を考えた。もちろん、本当に無限ということはないんだけど、無限にできるんじゃないかと信じて増やしていくわけですよ。しかも、狩野派に個性がなかったかというとそんなことはない。新しいクリエーションや美の表現でも集団制作ができるということですよね。チームラボも同じで、例えばクリエイターというのは人気が上がると価格を上げていくものだけど、うちはノウハウを共有しまくってクオリティを担保しながら生産量を上げるという方法論を取っていたら、300人くらいになっていたんですよ。

Q .それは面白い話ですね。

猪子:もうちょっとマニアックな話をすると、戦国時代の日本というのは、実は戦争の時にあまり人が死んでいないというのがあって。有限概念の場合、略奪や殺戮というのはインセンティブが高いんですね。食べ物が有限だとしたら、相手を殺した方が自分の取り分は多くなる。でも、食べ物は無限に生産し続けるものと考えたら、殺戮のインセンティブは減ってしまうんです。だって、占領した土地の人たちにも生産してもらわないといけないから。だから、例えば川中島の戦いなんかもほぼ誰も死んでいないらしいですよ。むしろスゴい兜とかをつけて、「われこそは信玄なり~」みたいなことを言うわけだから、出店とかが出て、見物人がたくさん集まっていたという話ですよ。


チームラボ「花と屍 剥落」

Q. それホントですか?(笑) そんなの大河ドラマで見たことないですよね。

猪子:どれだけみんな西洋思想に犯されてるかということを僕は言いたい(笑)。そもそも戦争のインセンティブになるのは、客観思想と有限概念だけなんですよ。資源や土地の奪い合い、もしくは客観的な神についての諍いが戦争になる。戦争の理由ってそれしかない。そう考えると、西洋思想が人類をおぞましくしたとも言えますよね。

愛にも無限概念は当てはまりますか?

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