文章力は、伝達力の基本」 【第11回】とにかく一文を短くする

「日本人が日本語の文章を書くための文章力は、わざわざ身につけなくてもよい」は誤解です。子どものころに「文章を書く」という指導をきちんと受けてこなかった私たちに、入門書を得意とする作家・木暮太一さんが、文章力を身に付けるためにはどうすればよいかをお伝えします!


〔PHOTO〕gettyimages

主語と述語の関係を明確に

「わかりやすい文章」を書くために、「わかりやすい文章構造」で書くことが不可欠です。その「わかりやすい文章構造」のつくり方について、ここまでで説明してきました。

ただ、文章構造がわかりやすくても、一文一文がわかりづらければ、「わかりづらい文章」になってしまいます。

当たり前ですが、一文一文を、わかりやすく、伝わりやすく書かなければいけないわけですね。そのために、まずすべきことは、「主語と述語を明確にすること」です。具体的には、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「した」を、明確に、しかもすぐに分かるように書かなければいけないのです。

ここで、多くの方が疑問に思うのは、「どうすれば主語と述語の関係が明確になるのか」です。今回はそれをお伝えします。

ポイントは

「とにかく短い文章にする」 「伝えたい内容を直接的に書く」

です。

とにかく短い文章にする

まずこの文章を読んでください。

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千葉県の浦安市に住んでいて来年の春に卒業を迎えるはずだった私ですが、2010年から2011年の春まで海外留学をしていたこともあり、留学先のアメリカの生活で多くを学び、その経験を生かしたいと思いながらも、日本ではやはり学歴社会なのかなと思っていっそのこと海外の大学に編入しようと思っています。
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一見して何が言いたいのかよく分かりません。この文章が分かりづらい理由は、「主語と述語がつかめないから」です。

そして、なぜ主語と述語の関係がつかめないかというと、その一番の理由は「一文が長いから」です。

日本語は、主に「主語(わたしは)⇒ 述語(~です)」という構造になっています。やっかいなのは、この「主語」と「述語」の間に、「いつ」「どこで」「どのように」「~という理由で」など、副詞や修飾語が入れられるということです。文法的には様々な言葉を入れられるので、先の例文のように異様に長い文章ができてしまいます。

その結果として、主語と述語の距離が離れてしまい、「誰が何をした」という一番大切なメッセージが伝わりにくくなっているのです。

副詞や修飾語も、書き手本人にとっては「必要」です。それが邪魔をしているといわれても、実際に改善するのは難しいでしょう。そこで「ムダをなくす」ではなく、別の意識で書かなければいけません。

では、どのような意識で書けばいいのか? それは「とにかく文を短くする」という意識です。一文一文をできるだけ短くしようとがんばってください。そこを意識して書くと「邪魔」を減らすことができます。

「文章を短くする」には2つ方法があります。ひとつは、「文章を短く切る」、もうひとつの方法は「『不要な語句』を入れない」です。

(1)「文章を短く切る」

「文章を短く切る」は、比較的簡単です。「主語と述語だけを最初に言い切り、接続詞で一度文を終わらせる」を心がければ、自然に文章が短くなります。

先ほど紹介した「悪い例」で試してみます。最初に主語と述語を言い切り、接続詞で一旦文章を終わらせるとこうなります。

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私は、千葉県の浦安市に住んでいて来年の春に卒業を迎えるはずでした。2010年から2011年の春まで海外留学をしていました。留学先のアメリカの生活で多くを学び、その経験を生かしたいと思っていました。日本ではやはり学歴社会なのかなと思っていっそのこと海外の大学に編入しようと思っています。
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「ずいぶん、単調な文章になったなぁ」と感じる人も多いでしょう。でも、まずはこれでいいのです。読みやすく、内容をつかみやすくなっています。

(2)「『余計な語句』を入れない」

「とにかく文を短くする」方法のふたつ目は、「『不要な語句』を入れない」です。つまり、メッセージを伝えるうえで必要でない語句は入れない、ということです。「そんなこと当たり前じゃん」と思われるかもしれませんが、実際に多くの方がやってしまっています。

「下手な文章」はこの「不要な語句」であふれています。逆に言うと、不要な語句をたくさん入れているために、文章が「下手」になっているのです。

書いているみなさんからすれば、「不要な語句など入れていない」「全部必要な要素だ」と感じるかもしれません。しかし、多くの文章が「無駄」にあふれているのが現状なのです。

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木暮太一

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