すべての人に「ハグ」する気持ちで仕事をする

村上春樹の小説『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』に登場するレクサス店のモデルと言われるレクサス星が丘。お客様からのお問い合わせや要望には何でも応えるという、最大限のおもてなしの背景にはどのような気遣いがあるのでしょうか。好評発売中の『No.1トヨタのおもてなし レクサス星が丘の奇跡』から一部を公開します。

すべての人に「ハグ」する気持ちで 仕事をする

 副マネージャーの伊藤明子いとうあきこさんは平成3年、キリックスグループに入社し、8年間、同グループの創業者であり社主の山口春三さんの秘書を務めた。その後、独立して日本経営協会の講師として活躍する。マナーや秘書業務を教えていたところへ、山口さんから声がかかった。
「今度、レクサスを立ち上げるんだが、戻ってこないか」  
 そして開業時から精鋭部隊の一人として参加することになった。  
 長く秘書の仕事をしてきて身体に染みついたこと。それは、「先回り」の心掛けだという。秘書は常に黒子。表に出る社主に「恥ずかしい」思いをさせてはならない。トップの人は、ただでさえ毎日忙しいスケジュールをこなしている。よけいな気遣いをさせないのが大切。そのため、常に言われる前に「先回り、先回り」して提案して動くのだという。
 例えば、お中元やお歳暮の時期になれば、
「○○様は、最近、お付き合いが深くなって参りましたので、手配をさせていただきましょうか」  
 と言われる前に準備してしまう。
「当たり前路線ではいけない。決まりきった形ではいけない。その向こうに何かがあると思うのです。人と同じことをしたくないという性格もあるかもしれませんね」  
 そんな伊藤さんの秘書スピリットは、レクサス星が丘でも大いに活かされることになる。
 レクサス星が丘では、圧倒的にファミリー層のお客様が多い。開業10年ともなると、オープン当時、ご両親に付いてこられたお子さんたちも成長する。彼らの名前を覚えていて「○○さん、こんにちは」と声を掛けるのも一つ。また、昔、アイスココアがお好きだったことを思い出し、さりげなく「どうぞ」とお出しする。
「え! 覚えていてくれたの」
 と驚いて喜んでくださる。本人はもちろん、ご両親はそれ以上に。

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レクサス 星が丘の奇跡

志賀内泰弘

村上春樹の小説『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』に登場するレクサス店のモデルと言われるレクサス星が丘には、思わずうなる感動的な物語があった……。 好評発売中の『No.1トヨタのおもてなし レクサス星が丘の奇跡』から一部を公開...もっと読む

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