インターネット産業は、社会的リスクに敏感になるべき
藤野 依然として、日本にはまだゲーム産業を一段低いものとして見る風潮があると感じるのですが、それについてはどうお考えですか。
田中 ゲームというのは、エンターテインメント産業です。音楽や映画、テレビ番組などもそうなのですが、エンターテインメント産業特有の問題から目をそらしてはいけないと思っています。それは、おもしろさを追求するあまり、いき過ぎてしまうことがあるということです。その部分を理解した上で、人の心を豊かにしたり、安らぎを与えたりするエンターテインメントの正の部分をつくって、マイナス面を自分たちで律したり補ったりすることが求められていると思います。
藤野 マイナス面でいうと、やはり頭に浮かぶのは「コンプガチャ」の問題です。違法と判断されてからすぐに協議会を発足し、ガイドラインを発表するなどの対応をとられていましたが、このあたりの改善の取り組みついてはいかがでしょうか。
田中 自主規制や、業界団体をつくるなどの取り組みはもちろん、まず大前提を共有することが必要だと思っています。
藤野 大前提、ですか。
田中 どんな産業でも負の側面というか、結果的に社会問題を起こしてしまうリスクを抱えています。既存の大きな産業は、そういったリスクを自覚した上で、どうビジネスを展開するかを考えています。
でも、インターネットビジネスに関連している人たちは、自分も含めて、社会問題に対する意識が薄い気がするんです。それは、たまたま社会規模の問題などが起こり得ない、ごく小規模なところからビジネスをスタートしたからです。これは、インターネットにかぎらず、新しい産業全般に言えることかもしれません。
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