文章力は、伝達力の基本」【第10回】見出しを有効に活用する

「日本人が日本語の文章を書くための文章力は、わざわざ身につけなくてもよい」は誤解です。子どものころに「文章を書く」という指導をきちんと受けてこなかった私たちに、入門書を得意とする作家・木暮太一さんが、文章力を身に付けるためにはどうすればよいかをお伝えします!


〔PHOTO〕gettyimages

見出しの効果

長い文章を書く場合、見出しを使います。雑誌や書籍には必ず見出し(小項目名)がついています。同じようにが、多くの文章に「見出し」があります。

あまり重視されていないように思いますが、見出しは効果的に使えば、文章の分かりやすさ・読みやすさを飛躍的に高めてくれる便利な「ツール」になります。

そこで今回は見出しの役割、効果的な使い方について説明しておきます。

そもそも、なぜ「見出し」をつけるのでしょうか?

見出しとは「この後に書いてあること」をまとめたものです。つまり、見出しは、その後に書いてあることを読み手にイメージさせるためにあるのです。これは大きな役割を持ちます。なぜなら、この「イメージをさせる」ことが、分かりやすさに大きく貢献しているからです。

見出しの役割・効果は、具体的には以下の3つです。

(1)読み手に、その先の文章の内容を予測してもらう
(2)文章全体のガイドマップの役割を果たす
(3)読み手が知りたい情報を見つけやすくする

(1)読み手に、その先の文章の内容を予測してもらう

突然ですが、次の文章を読んで理解できますか?

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最近は、専門性を身につけるでもない、何かに没頭するわけでもない、そんな人が増えている。何も「武器」を持たない状態で、いきなり競争にさらされているわけだ。 一方で、特に明確な理由があるわけでもないのに、イメージだけで「大手でないと嫌だ」という。それで売れ残ることを国や第三者の責任と考える。 そこまでいうのなら、「では、あなたには相手に認めてもらえるだけの力はあるのか?」と問いたくなる。
こんな状態で、状況が悪化するのは当然だと感じるが、いかがだろうか?
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日本語としては、理解できます。しかし、何についての文章なのかが分からないので、内容は理解できません。最後に「いかがだろうか?」と聞かれていますが、内容を理解できていないので、なんとも答えられません。

じつはこれ、「大学生の就職率の低さ」について書かれたものです。もう一度先の文章を読んでみてください。今度は全ての内容を理解できますね。そして「いかがだろうか?」にも答えられます。最初に「大学生の就職事情についての文章」だということがわかれば理解できるのです。それを読み手に伝えるのが「見出し」の役割です。

「見出し」で、「この後には、~という内容が書いてありますので、予めご承知置き下さい」と伝えます。すると読み手もそういう頭で文章を読み進められます。

「話のテーマ」が分からないと、なかなか理解できないものです。つまり、「何の話をされているのか分からないと、理解が進まない」のです。

会議で、いきなり具体的な話から入ると、「その前に、何の話をしているの?」と聞かれるでしょう。人がスムーズに内容を理解するためには、「これは○○の話」と認識しておかなければいけないのです。

それは文章でも同じです。本論に入る前に、「これから〇〇の話をしますよ」と前フリをしてあげることで、格段にわかりやすくなります。

(2)文章全体のガイドマップの役割を果たす

読み手は、その文章に書いてある内容を知りません。ただし、今お伝えしたように「どんなことが書いてあるのか」を予め知っていたほうが、内容を理解しやすいのです。

そこで、本文を読み始める前に、ざっと見出しだけを見渡して、全体像を把握しようとします。これは、みなさんにもご経験があるかと思います。

つまり、見出しだけを順に眼で追って、「まずは営業状況の状態が書かれていて、そのあとに競合の動きと、今後の対策が書いてあるのね。はい分かりました。では、具体的にどういうことが書いてあるのか読んでいこう」と考えているのです。見出しをガイドマップとして利用しているわけです。

ということは、逆に考えると、そのガイドマップの役割を果たせていなければ意味がないということになりますよね。そこで、見出しの付け方について解説します。特に悪い例に注目しながら読んでみてください。

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木暮太一

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azuma316 読みたいメモ 5年弱前 replyretweetfavorite