文章力は、伝達力の基本」 【第6回】「分かりやすい」には2種類ある

「日本人が日本語の文章を書くための文章力は、わざわざ身につけなくてもよい」は誤解です。子どものころに「文章を書く」という指導をきちんと受けてこなかった私たちに、入門書を得意とする作家・木暮太一さんが、文章力を身に付けるためにはどうすればよいかをお伝えします!


〔PHOTO〕Thinkstock by gettyimages

「分かりやすい構造」と「分かりやすい表現」

わたしたちの文章は、単に「分かりやすい文章」「分かりにくい文章」と評価されることが多いです。ですが、ひとくちに「分かりやすい」「分かりにくい」と分類されても、「何が『分かりやすい/分かりにくい』のか?」「どのポイントを改善すべきなのか?」は分かりません。

文章力を身につけるためには、その前にまず、自分の文章の問題点および改善点を明らかにしておかなければいけません。

結論からいいますと、「分かりやすい」には2種類の要素が混在しています。2つの要素がそろってはじめて「分かりやすい文章」になるのです。

同時に、その2つの要素を区別なく考えていると、的確な「対策」ができなくなります。「分かりやすくしよう」とがんばっても、なかなか成果が出なくなります。ですから、まず「分かりにくい文章」は何が分かりにくいのかを、要素別に分解して考えてみます。

文章の分かりやすさを決める2つの要素とは、「文章構造」と「文章表現」です。この2つがそろって、初めて分かりやすい文章になります。

逆に、「その文章が、分かりやすい理由」は、

「文章構造」が分かりやすく、かつ「文章表現」も分かりやすいから

なのです。

多くの方が「分かりやすい文章が書けない」と悩み、また他人から「あなたの文章は分かりづらい!」と悲しい評価を受けています。そして自分なりに努力をします。ところが、なかなか上達しません。なぜか?

それは、改善ポイントが明確になっていないから、あるいは改善ポイントが間違っているからです。直すべきポイントが正しく明確に分かれば、自分で対策を講じることもできます。しかし、もしそれが分からなければ、もしくは間違って認識していれば、いつまでたっても「分かりやすい文章」は書けません。

分かりやすい文章にはロジカルシンキング!?

よく「分かりやすく書くためには『ロジカルシンキング』がポイント」といわれます。つまり、論理的に、理路整然とした文章を書けば、分かりやすくなると考えられています。自分の文章力を改善させるために、この種の参考書を買って勉強された方も多いと思います。

これは間違いではありません。分かりやすく、理路整然とした構造で書くことは「分かりやすい文章」に必要な考え方とスキルです。ロジカルシンキングを身につければ、すっきりした「文章構造」で書けるようになります。

ただし、理路整然としているだけで、文章が分かりやすくはなるわけではありません。たとえば、高度な専門書や研究者の論文を思い出してください。専門書や研究者の論文は、理路整然としています。ロジカルシンキングの観点からしたら、非常に「わかりやすい文章」でしょう。

では、その文章が一般人にとっても分かりやすいと言えるかというと、決してそんなことはありませんよね。ロジカルに理路整然と書いたからといって、それだけでは「分かりやすい文章」にならないのです。

分かりにくい文章を書く学者や政治家が、いくらロジカルシンキングを強化しても、結果は改善しません。分かりやすい文章を書くためには、「分かりやすい表現」も身につける必要があるのです。

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木暮太一

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