日本人が学校で英語を勉強しているうちに体に染み付いてしまうことのひとつに、「返り読み」があります。返り読みというのは、まるで漢文を読むかのように、関係代名詞のthat 以下とか、with や in などと行った副詞の後ろにつながる部分を前に持ってきて読む方法です。
例えば、次のような文章があったとします。
I always carry my phone in my pocket.
例えばこの文章を日本語に訳しつつ理解しようとすると、I always まで読んだら、次に in my pocket を読んで、そしてその次に carry my phone と読んでいくようないわゆる「返り読み」をしていかなければなりません。
関係代名詞だとなお大変です。
I saw a dog which was running in the park.
まず I を読んだら次に which以下の “was running in the park” に飛び、そのあとに “saw a dog” を読んで、やっと「僕は公園を走っている犬を見た」と理解できるわけです。
この「返り読み」の問題点は、ざっくり言って3つあります。
ひとつは読むスピードが上がらないことです。当たり前ですが、わざわざ折り返しながら読むんですから、スピードが上がるわけがありません。大量の英文に触れる、というのは、英語の習得に欠かせないひとつのプロセスですが、折り返しながら読んでいたら、大量の英文を読むことなど、到底おぼつかないのです。
もうひとつは、英語を聴く際にも同じプロセスを頭の中で展開してしまうことです。読んでいる時に無駄になるのは自分だけの時間ですから、自分の好きなように読めばいい、というふうに考えることもできます。でも、英語を聴きながら会話の内容を「返り聴き」するのは無茶というものです。それでも学習用教材なら巻き戻して同じところを聴き直すことができますが、現実の会話だと会話の中身が流れてしまって、それでもうおしまいです。「返り聴き」をしている奴なんているはずない、と思うかもしれませんが、これ、実際にやってしまうものなのです。日本人の英語学習者が必ず通る道といってもいいくらいです。
そしてもうひとつの弊害、それはいつまでたっても英語を英語のままで思考する訓練ができないことです。英語というのは、日本語とは反対の語順で考えながら、喋ったり書いたりするものなのです。ですので返り読みを続けていると、いつまでたっても英語の思考順序が身につきません。英語を英語で考える最初の大きなステップが、この「思考順序を変える」という作業なのです。
ではどうすればいいのか?
では具体的にはどうすればいいのでしょうか? 今日は4つの方法を紹介しましょう。これらの方法は、「返り読みと克服方法」というわけではありません。一般的に割とよく知られている読むスピードを上げる方法です。しかし、英語圏の人が考え出した早読みの方法なので、結果として返り読みの矯正にも役に立ちます。それではひとつずつ紹介しましょう。
Eye Sweep
これは、文字を指でなぞりながら読むという方法です。コツは指を動かす際に、いつも目線よりも一単語先を指で指すようにすることです。こうすると目が強制的に前に前へと進んでいくため、返り読みをしなくなるのです。
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