これは事件だ! サイボウズのキャンペーンにみる「問題提起型広告」の意味

まだ同僚が仕事にいそしむなか、そそくさと退勤する女性。保育園にあずけている子供をひきとり、帰り道を行きながら家事や仕事の算段をしている彼女の表情は疲れていて、今にも泣きだしてしまうんじゃないかという気すらします。ワーキングマザーの現実を描いたこの動画は、グループウェアのサイボウズが企業ブランドキャンペーンの一環として公開したもの。たしかに、あちこちで反響を呼んでいるこのキャンペーンですが、川上慎市郎さんによれば「日本広告史上に残る事件になるかもしれない」とのこと。一体その理由とは?

日本の広告史上に残る事件が起きた?

グループウェアのサイボウズが、昨日12月1日から企業ブランドキャンペーンを始めました。おそらくこれは、日本の広告史上に残る、とてつもない「事件」になる可能性があります。今日のコラムは、このことについて少し考察してみたいと思います。

そのキャンペーンとはどのようなものか、まずはこの動画を見てみてください。

サイボウズ ワークスタイルムービー「大丈夫」

このCMでは、あるワーキングマザーが仕事帰りに、子供を保育園に迎えに行き、家まで帰るようすが描かれています。熱を出した子供の心配をしながら、仕事や家事の算段に思い悩む彼女のようすを見た人は、おそらくさまざまな感情的反応を見せることでしょう。子持ちの女性が働くことがこんなに大変なのかと驚いたり、主人公に自分自身の経験を重ねて涙を流したり、「主人公の夫はちょっとは妻をいたわったらどうなんだ!」と憤激したり、あるいは「こんなCMを流しておいて、サイボウズはいったい働く女性に何をしてくれるというのか」と不愉快になったり…。

その意味では「よくできた」CM動画なのですが、もう一つ、このキャンペーンが「よくでき」ていると思える、いやむしろ「ここまでやって良いのか」とすら思える理由があります。

それは、このCMに「問題の解決策が提示されていない」ということです。

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R30::リローデッド

川上慎市郎

グロービス・マネジメント・スクールでマーケティングを教える川上慎市郎さんが、若手ビジネスパーソン向けに、マーケティング、メディア、そして教育について、深くやさしく解説をします。かつて有名ブログ「R30::マーケティング社会時評」を運営...もっと読む

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コメント

keisuke_1211   泣けた。こういった事を国をあげて解決しないと、出生率も未婚率も絶対に解決しだろうね。で、押しつけて理解させるではなく、大変さをいかに共有してもらうかが課題かな 5年弱前 replyretweetfavorite

keiichi_1004 これは茶番やろw 5年弱前 replyretweetfavorite

ogawatam 「広告で社会問題を提起しようとする日本の企業(特に上場企業)は、これまでほとんど存在しませんでした」 5年弱前 replyretweetfavorite

_daisylily "それ以来、明治安田生命はこの99年以来の企業広告「あなたに会えて」シリーズから、障がいなどのテーマを扱うことを止めてしまいました。" http://t.co/J6BE5RE7dS 5年弱前 replyretweetfavorite