「追伸・はぐれ刑事純情派、懐かしいです」
これほどまで全ての女性がショックを受けまくっているとの報道が相次いでいるのであれば、西島秀俊についてメンズから言及することは慎重にならざるをえないので、梅宮アンナの話から始めることで自分の身を守りたい。先月、あるバラエティ番組で西島の大ファンだという梅宮アンナが、携帯やメアドを記したラブレターを送ったと激白した。需要が見込まれない公開だが、全文はこちら。「西島さんへ。はじめまして、梅宮アンナです。作品を観させて頂いて、とても感動しましたので、感謝しています。元気になりました。今後もたくさんイイ作品に出会えるとイイですね。楽しみにしています。追伸・はぐれ刑事純情派、懐かしいです。」
梅宮一家というスパイスをふりかけてもちっとも濁らない
雲ひとつないほど晴れやかに稚拙な文章だが、最後の「追伸」にだけ企みが込められている。西島のデビュー作は意外にも刑事モノの「はぐれ刑事純情派」、そこで西島と共演したのが父・梅宮辰夫だった。先頃、梅宮辰夫はアンナに浮上した新たな熱愛報道について「全く関知していない。興味を示さないようにしている。もう疲れました」と徹底した無関心を表明したそう。
このように、西島秀俊を語る時に「演技派」「寡黙」などではなく、「梅宮アンナ」「梅宮辰夫」と続けると、話がみるみるうちにチープになっていく。成城石井の門構えだったのに入ってみたらドン・キホーテだった、かのごとく。梅宮アンナを、人気者にあやかった炎上商法とバッシングしてはいけない。梅宮一家というスパイスをふりかけても、西島秀俊というブランドが雲ひとつないほど晴れやかなまま濁らない、この事実を付与してくれたと感謝すべし。あれだけ派手な値札とうるさいBGMをぶつけても、成城石井でいられるのが西島秀俊なのだ。
西島秀俊の名エッセイ
断言するが、ちまたにある「朝まで飲んじゃった」エピソードに面白いものはひとつもない。今日も全国で5000人くらいが、その無個性に気づかぬままゴミ捨て場で寝ちゃったエピソードを嬉々と披露しているのだろう。長年の大ファンの女性から「西島さんは地上から1センチ浮いているような人」という、すごく分かるようなちっとも分からないような評定を何度か聞いてきたのだけれど、どこか俗世間から乖離しているようにみえる彼が書いたエッセイでは、「朝まで飲んじゃった」エピソードがこのように書かれるのである。
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