社会人は学び直せるか
【第1回】アラフォー男子の私が大学院に行ったワケ

ライター、人材コンサルタント、大学の非常勤講師とさまざまなフィールドで活躍する常見陽平さん。そんな多忙をきわめる常見さんが、2012年から大学院に行った。その理由とは何か? そして社会人にとって改めて学ぶ意義とは? 自身の体験を軸としながら、社会人の学び直しの可能性を探る短期連載のスタートです!

38歳の入学式

 皆さん、こんにちは。常見陽平です。1974年生まれ、38歳。家族は妻一人。この春に15年間のサラリーマン生活にピリオドを打ち、人材コンサルタント、大学の非常勤講師、物書きをして生活しています。

 私にはもう1つの顔があります。それは、大学院生です。2012年4月から一橋大学社会学研究科修士課程で学んでいます。入学式に家族で参加した際は、学校の前で私が記念撮影をしている様子をみんな、不思議そうに眺めていました。確かに周囲で突出して自分の年齢が高いわけですからね……。

 そうして私は、大学の講義で「来週までにこの論文を読んでくるように」など宿題を出される一方、その数時間後に大学で講義をし、数時間後には今度は自分が教壇に立ち、学生に「再来週までにレポートを書くように」などと指示を出す日々を過ごしています。不思議な気分になります。

 この短期連載では、私の大学院生活をレポートしつつ、「社会人のための学び直し」について考えてみたいと思います。第1回目は、「私はなぜ、大学院に行こうと思ったか」についてお伝えしましょう。

脱ぐのは得意な営業マンだったけど……

 「お前は、学歴をコンプレックスに思え」

 新入社員の頃、上司に言われた一言です。大学で競争戦略論やマーケティングを専攻していた私ですが、恐ろしく売れない営業マンでした。当時の私は今では信じられないくらい頭でっかちで、ビジネス書に書いてあることを受け売りする割に実践しない—要するにだめな社員でした。私が活躍できるのは打ち上げの場所取りと裸になったりする宴会芸くらい。トップ営業マンならぬ、トップレス営業マンでした。

 その悔しさもあったので、自分は一刻も早く一人前になるべく、仕事にまみれていきます。とにかく行動の量を増やすことで成長していきました。でも、その後、やっぱり仕事にまみれるだけでは成長できないなと思い、本を読んだり、社内の研修に参加したり……。そんなことの繰り返しで、これまでやってきました。理論と実践、考える枠組みとそれを使ってみること、両方大事なのです。

 大学院に行こうと思ったキッカケも、基本的には同じような感じです。2000年代半ばに会社に所属しつつもライターデビュー、2007年に著者デビューした私。主に学生・若手社会人の雇用・労働、キャリアをテーマに、ここ数年、ひたすら執筆と講演を続け、突っ走ってきました。年間5冊くらいの書籍をコンスタントに発表し、連日のように講演を行ってきたのです。おかげ様で、論壇誌でオピニオンを発表したり、著名な方と対談したり、メディアに出演する機会なども増えていきました。いつのまにか、ネット論壇、U-40論壇なるものが立ち上がり、その末席に加えていただくようになりました。

 一方で活動のステージが大きく、そしてまた多くなっていく過程で、自分の限界にも気づき始めました。私はあくまで就職情報会社での勤務経験や、メーカーでの採用担当の経験、人材コンサルタントとして企業の採用活動をお手伝いした経験などなど、「経験」をもとに物を語っているのではないか、と。自分が眼で見た世界だから、間違いはないのですが、ただそれをマクロな視点で見たらどうなのだろうとか、理論的にはどうなのだろうと考えるようになったのです。

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