気持ち」を考えるとマーケティングがスケールする?

市場全体からセグメントを切り出すのではなく、本当に自分たちのお客さんになってほしいと考える人物(ペルソナ)を想定して行うマーケティングが今後の主流になっていくのではないかと分析する川上慎市郎さん。しかし、このやり方ではビジネスの規模を追求することができないのでは、という意見も。「ペットの気持ち」がわかることを売りにしたあの商品を例に、そのヒントを探ります。

前回のコラムで、従来マーケティングの基本戦略立案のフレームワークと言われてきたSTP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)のステップは、STPの代わりに「PED」(ペルソナ・体験フロー・価値デザイン)のステップを用いるニッチなポジションの企業だけではなく、今後は大手企業にも使われなくなっていくのではないか、という話をしました。

その事例として、マツダの「車体プラットフォーム」についてご紹介しながら、大手メーカーにとって生産や販売の面で規模を追う場合、ターゲットを絞らない「万人向け」の製品プラットフォームを作って展開することがその解決策となりつつあると述べました。

しかし、これを読んでおそらく「そりゃ、クルマメーカーだから製品の土台部分とボディのデザインとを切り離しても、お客さんには分からないだろうけれど、我々の業界で包み紙や入れ物などの“ガワ”だけ変えて中身は同じ商品を出すなんてあり得ない。真似しろと言われてもムリだ」と思われた方も、多いのではないかと思います。

たしかに自動車メーカーの商品開発のケースは、ほかの業界ではなかなか真似がしにくいというのも事実でしょう。しかし、だからといって「PEDマーケティングで規模化を追求するのは無理」と決めつけるのは、尚早です。今日はそのことについて少し考察してみたいと思います。

STPとPEDを「新規事業の発想法」で比べてみる

PEDで事業を構想すると、STPと比べて何がどう違ってくるのか、少し具体的に見てみましょう。

たとえば、ペットの首輪につけることにより、5分おきにペットの脈拍と体温を計測してデータを蓄積できる小型センサーを開発して販売するという事業を考えてみましょう。この小型センサーは、あらかじめ登録したスマホを持って近づくとスマホにデータを転送し、表示できるとします。

My little dog
My little dog / -=RoBeE=-

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R30::リローデッド

川上慎市郎

グロービス・マネジメント・スクールでマーケティングを教える川上慎市郎さんが、若手ビジネスパーソン向けに、マーケティング、メディア、そして教育について、深くやさしく解説をします。かつて有名ブログ「R30::マーケティング社会時評」を運営...もっと読む

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コメント

wildsheep39 いろいろと応用できそうな考え方! 4年弱前 replyretweetfavorite

jamais_vu ペルソナマーケについて 4年弱前 replyretweetfavorite

R30 これ、たぶんマ—ケティングでいわれるところの「土俵(ドメイン)を変える」方法論なんですよね。モノとしては似たようなものなんだけど、顧客サイドからの見え方を決定的に変えてしまうことがカギなんだという。 http://t.co/8Av2hyvJ6J 4年弱前 replyretweetfavorite