多くの女を私は知った
多くの痛み抱きながら
多くの女を悲しませた
だが、どれだけの花々が
風のなか咲き乱れても
おまえという一輪だけを
私はやさしく摘み取るだろう
無垢なる微笑みと甘い息
おまえという一輪だけを
夢の庭へ連れていこう
私だけの秘密の場所へ
歌うたう魔法の木々に囲まれた
そこはおまえのふるさとで
花は枯れることがない
香りは絶えることがない
多くの女を私は知った
多くの傷を抱きながら
多くの女を悲しませた
いま、別れの時をむかえ
過ぎ去った青春の日々に
いま一度あいさつをして
おまえという一輪だけを
夢の庭へ連れていこう
私だけの秘密の場所へ
これほど多くを与えてくれた
最愛の妻 年老いた妻よ
ほほえみと感謝と共に
おまえという一輪だけを
不滅なるものの列に加えよう
ありがとう さようなら
「多くの女を私は知った」
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