お辞儀がクレームの大ピンチを救う!

値引きをしたり、ポイントカードを作ったりしなくても、断然お客様の心をつかめるものがある。村上春樹の小説『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』に登場するレクサス店のモデルと言われるレクサス星が丘には、そんなことを実践し、証明してくれる人がいる! 好評発売中の『No.1トヨタのおもてなし レクサス星が丘の奇跡』から一部を公開します。


1日に1000台!


 ここで実際に、早川さんの仕事ぶり(もちろん、お辞儀の様子)を拝見させていただくことにした。

 目の前を通り過ぎる車の中にレクサスの姿を認めると、そちらの方へと立ち位置をちょっと移動させ、腰を折って一礼する。写真を撮って角度を測ってみると、倒す角度は55度。かなり深いといってもいいだろう。よくよく観察していると、上目づかいにチラッと過ぎゆく車を視線で見送っているのがわかる。僅かだが、顔の向きも車を追いかけている。まるで、「気」を送っているかのようにも見える。
 ただ、想像以上に頻繁ひんぱんにレクサスが通ることには驚かされた(こんなにも高級車に乗っている人が多いのか!)。すぐ近くの、星ヶ丘三越前の信号の変わるタイミングを計ってみると、赤信号が2分20秒、青信号が1分10秒であることがわかった。
 早川さんは、1回の信号の変わるタイミングで、何台のレクサスが通るかを何度か数えたことがあるという。平均すると、7~8台だったとのこと。
 朝の9時から夜の7時までの10時間で単純に換算すると、1371回のお辞儀をしている計算になる。もっとも、休憩時間もあろう。裏口からの出入庫への案内などをしていて、表にいないことだってある。それでも1日におけるお辞儀の数は1000回は下らないだろう。
 次から次へと続けてレクサスが走ってくる場合には、ペコッペコッと小刻みに。1台も飛ばすことなく、あくまでも個別にお辞儀をする。
 週休2日として、月に2万回、年に24万回を超えることになる。
 とにかく、すべてのレクサスにお辞儀をするというのが早川さんのモットーなのだ。
 失礼ながら、ふと頭に浮かんだのは「愚直」という言葉だった。「愚」という漢字が入っているので、良い意味には捉えにくいかもしれないが、お辞儀一つをここまで徹底できる「愚直さ」に「誠実さ」を覚えるのは私だけではないだろう。
 笑い話ではないが、早川さんはプライベートで散歩しているときにも、レクサスを見かけると、ついついお辞儀をしてしまうという。
 ドライバーの「何事か?」と驚く表情が目に浮かぶようだ。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
レクサス 星が丘の奇跡

志賀内泰弘

村上春樹の小説『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』に登場するレクサス店のモデルと言われるレクサス星が丘には、思わずうなる感動的な物語があった……。 好評発売中の『No.1トヨタのおもてなし レクサス星が丘の奇跡』から一部を公開...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

Tweetがありません