矢﨑雄一郎 ​vol.3 テラの創業は、誰もがうまくいかないと思っていた。

ヨーロッパ放浪から帰ってきた矢﨑雄一郎さんは、バイオベンチャーに入社。その仕事でできたつながりから、東京大学医科学研究所に研究員として入所し、ついに現在のテラの事業のベースとなる樹状細胞の研究に出会います。効果のある治療であっても、臨床研究期間が終わればお蔵入り、という環境で「この治療を、ベンチャー企業を立ち上げて患者さんに提供したい」とひとり手をあげた矢﨑さん。まわりの猛反対を受けたものの、最後に手を貸してくれたのは意外な人でした。

宝の山のなかで事業アイデアを育てた

藤野英人(以下、藤野) 前回は、大学病院をやめてバックパッカーの旅に出たというところまでうかがいました。旅の中で、その後やるべきことは見つかったんですか?

矢﨑雄一郎(以下、矢﨑) バイオテクノロジーに関連するなにかの事業を立ち上げよう、というふうに考えました。当時は、今のような免疫関連ではなく、再生医療や遺伝子診断・治療というところに興味があったのですが、とにかく、そういう方面のことをやろうとおもったんです。でも、ビジネスって医療従事者にとっては、まったく未知の世界なんですよね。そこを、いちから勉強させてもらうために、設立間もない創薬系のバイオベンチャーに入社しました。

藤野 その企業では何を担当されていたんですか?

矢﨑 企業からは大学や研究開発やドクター向けの営業の即戦力となることを期待されていました。私の経歴から考えると当然ですよね。でも私はビジネスについて経験を積みたかったので、事業企画や経理財務などに関わる部署で働かせてもらうよう懇願したんです。それまでワードやパワーポイントもろくに使ったことがなかったし、名刺交換だってちゃんとしたことがなかったのに、希望を聞き入れてもらって本当にありがたいなと今でも思います。

藤野 医師を続けていたら、経験しないことばかりだったわけですね。

矢﨑 「とにかくお金はいらないから、ビジネスの第一線で働かせてもらいたい」と熱く語ったのを覚えています。

藤野 自分の事業を、その会社の中で立ち上げるということは考えなかったのでしょうか。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

ケイクス

この連載について

初回を読む
イケてる経営者が日本を救う

藤野英人

日本株ファンドの「ひふみ投信」で抜群の成績を残しているファンドマネージャー藤野英人氏がイケてる日本企業の経営者にインタビューし、投資家の目線で成長の秘密をひもといていく対談連載。50歳未満の「アニキ編」と50歳以上の「オヤジ編」の2編...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

_DSCH タイミング; 約3年前 replyretweetfavorite

yaiask 藤野英人さんが、がんの免疫治療ベンチャー・テラの矢﨑社長に取材するシリーズ、更新しました。東大の医科学研究所は宝の山だけれど、事業化しないと持ち腐れ、という話→ 約3年前 replyretweetfavorite

furusawakanji タイミングなのか!?→ 約3年前 replyretweetfavorite