お笑い番組を映画に!?
—— 佐久間さんの代表作ともいうべき企画が、深夜番組『ゴッドタン』の1コーナー、「キス我慢選手権」です。あらゆる手段を用いてキスを迫るセクシーアイドルとその誘惑に耐える芸人、両者のかけあいが作り上げるアドリブ劇を楽しむという一風変わった内容です。
佐久間宣行(以下、佐久間) もともと、芸人ふたりが話術を駆使して相手に青汁を飲ませようと対決する「ブルードラゴン」という企画をやっていて。そこから進化した企画なのですが、ここまで続けられるとは思っていませんでした。
—— DVDの累計売り上げはなんと60万枚以上、その上お笑い番組としては前代未聞の、映画化まで果たす大ヒット企画となりました。先日、劇場版第二弾である『ゴッドタン キス我慢選手権THE MOVIE2 サイキック・ラブ』が公開されましたが、反響はいかがでしょうか。
佐久間 ありがたいことに評判は大変いいです。男女問わず、幅広い年齢層の方に笑っていただけたみたいで、苦労した甲斐があるなと思いました。前作より、今作の方が面白くなった自信もあります。
—— 続編を作りたいというのは、前回の時から考えていらっしゃったんですか?
佐久間 いや、とても無理だと思っていました。前回でやりたいことはやりきったつもりだったので。でも「第二弾をやらないか」と言われて、自分の中を掘り下げてみたらまだやりたいことが見つかったので、「できないからやりません」とは言いませんでしたね。
—— 驚くべきは、2時間近い長編映画であるにも関わらず、話の展開はテレビでのコーナー同様、主演の劇団ひとりさんによるアドリブで作られるという点です。今回も、本当の本当にアドリブなんでしょうか?
佐久間 本当にアドリブです。一応シナリオは最初に僕が書いていますし、ひとりさんの反応を予想して大まかな道筋も思い描きますが、ひとりさんには内容は一切伝えていません。
—— とてもそうは思えないような迫真の演技でしたよね。ロケバスで謎の学校に連れて行かれた川島省吾(劇団ひとり)が、傷だらけの少女(上原亜衣)に出会い、人類の未来をゆるがすサイキックバトルに巻き込まれる……という筋が全部アドリブで進み、しかもキスも我慢しなきゃいけないという(笑)。
佐久間 実は昔からSFが好きで、グレッグ・イーガンとかアイザック・アシモフをよく読んでたんです。それで今回は思いっきりSF要素を詰め込みました(笑)。
—— もちろんあちこちで笑えるんですが、アドリブがメインの撮影で、ここまでスケールの大きな作品が作れることにもびっくりしました。撮影されていて、最初に「この映画はうまくいくぞ」と思った瞬間はいつでしたか?
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