お金」って何だろう?

ユーロはいらない? 通貨の仕組みを考えてみた

EU諸国でユーロが導入され、はや12年が経過。ギリシャやスペインでの財政危機がニュースで話題になりますが、なんとなくピンとこない方も多いはず。そもそも通貨の仕組みのこと、きちんと説明できますか? 評論家・山形浩生さんとcakesでもお馴染み、岡田斗司夫さんが「お金の本質」をわかりやすく解説します。『「お金」って、何だろう? 僕らはいつまで「円」を使い続けるのか?』(山形浩生 、岡田斗司夫 FREEex 著)より抜粋して公開!

鳥取の人は働いても働いても貧乏?

岡田 そうか。国によって景気は違うのに、通貨が統一されていると変なことになっちゃうんですね。日本国内で考えると、感覚的にわかりやすいかな。例えば、東京と鳥取で10倍くらい収入に極端な差があったらどうだろう。お米の値段は日本全国同じだから、時給が高い東京の人にとって5キロ2000円のお米はどうということはないけど、時給が10分の1しかない鳥取の人はお米すら買えなくなってしまう。鳥取の中だけでモノ、カネが流通している分には、時給が低くてもモノも安く買えれば問題ないけど、全国に流通するようになるとそうはいかなくなってしまいますね。こういう状況だと、鳥取の人は、働いても働いても貧乏になってしまうということか。
 本来、EUでは各国が自治権を持ったまま、経済を統一しようと考えていたのだけど、それが裏目に出たということなんですね。経済が統一されると、政治的な自立も何もなくなってしまうわけで、これは面白いなあ。

山形 そうですね。岡田さんが例に挙げたケースは極端ですが、日本でも都道府県ごとの物価や賃金の差はあるわけで、似たようなことは時々起こります。地方自治体の財政が苦しいといったニュースはよく出ますが、それが財政破綻にまで至らないのは、日本の政府が公共事業などで地方にお金を回し、財政を支援するさまざまな施策を採れるからです。
 鳥取の財政が厳しい状況になったら、政府は支援を行いますが、ユーロ圏ではこのあたりの仕組みがきちんとしていません。ギリシャの財政が赤字になっているからといって、ドイツが簡単に支援してくれるわけではないので。ギリシャから支援を求められたドイツは「労働者を半分にしないと支援してやらないぞ!」と言うし、ギリシャは「ふざけんな、お前らがユーロにしたいというから、こっちもユーロにしたのに!」とやり返して、収拾がつきません。経済活動のある領域が統一されても、それに関連する仕組みが統一されていないと、なかなかうまくいかないものです。

岡田 出稼ぎはどうでしょう? 鳥取の景気が悪ければ、東京に出稼ぎに行けばいいでしょう。ギリシャの労働者10人のうち5人がクビになっても、その5人がドイツに出稼ぎに行けばよいのではないですか?

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お金」って何だろう?

山形浩生 /岡田斗司夫

「お金」っていったいなんだろう。誰もがわかっているようで、わからなかった「お金の本質」を社会評論家・山形浩生さんと「評価経済社会」の到来を予言した岡田斗司夫さんが、わかりやすく解き明かします。光文社新書『「お金」って、何だろう? 僕ら...もっと読む

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コメント

nijuusannmiri 「経済が統一されると、政治的な自立も何もなくなってしまうわけで、これは面白いなあ」 4年弱前 replyretweetfavorite

ToshioOkada 山形浩生×岡田斗司夫のcakesお金連載第3回が公開されました。「 4年弱前 replyretweetfavorite