自殺者製造社会の日本
ここしばらく「働く人」の二極化、中間層の仕事が減って行くこと、楽観的な老人と、雇用や将来が不安なので保守化する若者は、決して日本だけの問題ではないということを書いています。
前回のコラムでは、制度不全を起こしている上、流動性がない日本の労働市場の犠牲者である若い人は、場末のゴーゴーバーでヘロインを打ちまくるダメチームの将来有望な野球選手と同じだ、と強烈なことを言ってみました。
さて、今回も日本についてです。日本の労働市場の流動性のなさは、世間一般で言われている以上に大きな問題であります。やる気がなく技能もない中年をゾンビのように生かすために、若い人が殺されているのです。
以前「オニギリニマンコ」に関するコラムを書いた時に、精神論を押し付けて無理な労働を当たり前とする日本社会は、社会全体で人殺しをやっているようなものだと書きましたが、硬直した労働市場に何も手を加えないことも、大量殺人行為と何ら変わりません。
「大量殺人行為? はて」と思う方は、たまには真面目な統計にでも目を通していただきましょう。日本では労働市場の流動性の無さにより、自殺する若い人が「製造」されています。ニュースで時々報道される日本の自殺についてのデータをちょっと見てみましょう。ニュースだとささっと流してしまいがちですが、生データを目の前にすると、「ええ!?」という感情が湧いてくることでしょう。
たとえば内閣府の「自殺対策白書」によれば、日本の15歳から39歳の死因の一位を占めるのは自殺です。
※詳しい資料はこちら(http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2014/pdf/honbun/pdf/1-1-1.pdf)
あらためて表で見てみると強烈ですね。40歳を過ぎると「悪性新生物」すなわち「ガン」や、「心疾患」などおなじみに病名が並びますが、若い人は自殺してしまうわけです。ワタクシもそろそろ若い人ではないので周囲に「悪性新生物」で死ぬ人が増えるんでしょうか。
こういうデータを他の国と比較した物も強烈です。先進七カ国において、15~34歳の死因の一位を自殺が占めるのは日本と韓国だけです。日本の若い人の自殺率は、なんとアメリカの約2倍、イタリアの約4倍、イギリスの約3倍です。
※詳しい資料はこちら ( http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w...)
※詳しい資料はこちら(http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-...)
日本人の自殺願望は切腹文化とは関係ない
ところで日本人の自殺の原因を、「日本とキリスト教国との宗教観やモラルの違いだ」という「文化論」で片付けてしまう方が少なくありませんが、個人的にはそれは論点が違うんじゃないかと思っています。
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