社会のマジョリティとして認知された非モテ男性
—— 前回までに、メディアやネットによって、男女ともに異性を選ぶ基準が吊り上がり、恋愛をしにくくなっているとお聞きしました。
藤沢数希(以下、藤沢) しにくくなっているだけではありません。実際に恋愛している男女も、FacebookやXVIDEOSの中の異性と比べて、いまのパートナーに不満を鬱積させているのです。若者の草食化、未婚化、そして急速に進む出生率低下の背景には、IT革命により、恋愛市場への要求利回り※1が上昇してしまい、リアル恋愛市場の流動性※2が、このように枯渇しつつあることがその背後にあります。
※1 要求利回り:リスクやコストを引き受ける代わりに投資家が要求する見返り、期待するリターン。
※2 流動性:取引成立の容易さ。流動性が高い市場では売値と買値の提示が多数あり頻繁に売買が成立する。
—— なるほど。しかし、図を見ると、上位のモテ男性に流動性が集まっている。つまり、多くの女性が上位のモテ男性になだれ込んでいますね。
藤沢 その通りです。現代の恋愛市場は、このように一部のモテ男性に過剰な流動性が提供されている一方で、本当にセックスを必要としている、大多数の男性のところでは流動性が干上がってしまっているのです。
—— やはり人口のボリュームゾーンが恋愛市場に参加しないことには、さまざまな社会問題は解決されませんね。
藤沢 そうです。また、文化的な変化も、若者の恋愛離れを加速させていると思います。
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