大図まこと(クロスステッチデザイナー)→森岡督行(森岡書店)Vol.3 本屋業界はいかがですか?

今回インタビュアーとしてカンバセーションズに初登場するのは、レトロなゲームのグラフィックやピクセルアートを思わせるタッチを、クロスステッチという刺繍技法でポップに表現する大図まことさん。そんな大図さんがインタビューするのは、写真集や美術書を扱う書店として茅場町にあるビルの一室で開業し、その後8年間にわたり国内外のファンから支持され続けている森岡書店の森岡督行さん。先日、これまでの活動について綴った『荒野の古本屋』を出版するなど、ますます注目度が高まっている森岡さんに、大図さんが聞きたいこととは?

本屋業界はいかがですか?

Q.森岡さんとこうしてお話ししているととても面白いですし、このお店のお客さんには、森岡さんのファンも多そうですね。最近は、セレクト系のオシャレな古本屋さんなども増えていますが、僕はちょっとあの雰囲気が苦手なんですよ(笑)。

森岡:そうですなんですか?(笑) でも、この業界には本当に良い人が多いんですよ。例えば、同業他社と言うと商売敵としてお客さんを奪い合っているようなイメージがありますが、この業界にはあまりそういう感じはなく、お互いに話が合うから楽しいし、みんな仲が良いんですよね。例えば、自分がお客さんから注文を受けた時に、知り合いのお店に電話をして、「そちらにこの本ありますか?」と聞くようなことも結構あるんですよ。

Q.それは面白いですね。普通に考えたら、そういう問い合わせが来た時に、自分が売りたいと思うんじゃないかなと。

森岡:いや、それはないんですよ。それどころか、例えば私がある本屋さんに、こういう本を探していると電話をすると、うちにあるから送っておくよと言って、その本を値引きして売ってくれるんです。そういう暗黙の取り決めのようなものがあるんですが、そもそもが厳しい業界でやっているからか、持ちつ持たれつの精神があるんですね。また、うちのように作家さんの展示をしている本屋も多いですが、展示などに至っては、作家を奪い合うどころか、色んなお店で同じ作家の展示をしますし、神輿を持ち上げるかのように作家さんを担いで、みんなで盛り上げていこうという考え方でやっているところがありますね。

Q. 森岡さんはどういうきっかけでギャラリーを始めるようになったのですか?

森岡:これまでの8年間ですでに260回ほどの展示をしてきていますが、開店当初は展示をするということは考えていませんでした。まだ神保町で働いていた頃にまで遡るのですが、ある時に喫茶店でコーヒーを飲んでいたら、ひとりのご婦人が入ってきたんですね。そこでたまたまご挨拶をさせてもらったのですが、その後このお店を開いて少し経った頃に、噂を聞きつけてその方がいらっしゃってくれたんです。そこで、「この場所は雰囲気も良いし、ギャラリーでもやったらいいんじゃない?」というアドバイスをして頂いたのですが、さらにお店の品揃えを見て、「写真集が好きなのね」と。そして、「うちの息子も写真をやっていて、こないだ『POOL』という写真集を出したのよ」と言われたので、「もしかして息子さんは平野太呂さんですか?」とお聞きしたら、そうだと(笑)。平野さんの写真は大好きだったので、ぜひ写真展をやりましょうという話になり、それから展示をするようになったんです。ビルの大家さんからの勧めもありました。


オガワナホ 「ナナとミミのえほん原画展」at 森岡書店

これからも本屋を続けていきますか?
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