フランスで迎える、収穫の秋
冬が近づき、すっかり肌寒くなったパリ。私の暮らす猫の額、いやネズミのほどの小さなアパートでは足下が随分冷えます。暖房をつけても靴下を二枚ばきするほどです。
この時期になると、旦那の実家の庭にあるリンゴの実がふくらんできます。そこで毎年、恒例のリンゴ狩り作業を手伝いに行くのです。
庭には3種類のリンゴの木が約10本ほど生えています。中には推定樹齢100年以上のものも! その年によって実の大きさや数が違ってくるのがおもしろいところで、今年は数は多くないけれど例年よりも大きな実がなりました。
日本にいるときは、九州出身の私はリンゴ狩りなんて体験したことがありませんでした。
リンゴが有名なのは世界遺産のモンサン・ミッシェルがあるノルマンディー地方などですが、パリからちょっと離れるだけで各々の家の庭にリンゴやプルーン、サクランボのなる木があるというのは珍しいことではありません。
パリから電車で一時間弱の小旅行で行ける旦那の実家にはしょっちゅう帰っているのですが、公害で汚れたきったない空気のパリから離れ、自然に囲まれた田舎でこうしてリンゴをもぎ取るのはなかなか気分転換になっていいものです。
しかし、毎年のこととなると案外重労働作業だということにも気づかされます。
リンゴ狩りといっても、ただ狩ればいいってもんじゃないんです。けっこう神経を使うものなのです。
木によじ登ってリンゴ狩り中の筆者
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