ファンキー加藤とニッポンの労働

今、マジで泣ける歌を歌う人といえば、元ファンキーモンキーベイビーズのファンキー加藤、かどうかわかりませんが、今回の「ワダアキ考」はその彼を取り上げます。この連載の読者の皆さんは彼から「勇気をもらいました!」という人はあまり多くないと思いますが、同じくよく知らなかった武田砂鉄さんがCDを真剣に聴きこんで書いた日本の若者の労働についてのコラムです。え、労働?と思ったらとりあえずご一読を。

麺工場でのベテラン男性の神業

とある、そば・うどんチェーン店の麺工場を取材させてもらった時のこと。1食分にパッキングされた麺がベルトコンベアを流れてくる。いかにもベテランの男性が袋を持ち上げてはラインに戻している。何十袋かに1つ、別の箱に弾く。わずかな重さの違いで不良品を探し当てて仕分けているという。重さが異なるものは一部の麺が潰れていたり、切れていたりするそう。このように、いくら効率的に同じものを量産しようとしても、基準に至らないものは必ず一定数生まれてくる。「均質」は、「均質でないもの」を慎重に間引くことで保たれる。

J-POPベルトコンベアには「善意」が流れている

(曖昧な定義だが)気の利いた音楽やマニアックな音楽ばかり聴く人は、「流行りのJ-POPなんてどうでもいい」と仰る。こちらはその土地ならではの名水を使った手打ちそばをすすっているので、立ち食いそばのクオリティなんてどうでもいいんですと言う。今、J-POPをベルトコンベアに流すと、そこから立ちこめてくる香りは押し並べて「善意」だ。代わり映えしないこれらの善意を浴びて素直に前を向ける人って、すでに前を向いている人じゃないか、ならば聴かずにそのまま前を向けばいいじゃんかと疑いたくなるほど、シンプルな善意に溢れている。しかし、機械をいくら精密に作っても、一食分の麺のパッキングを誤るのと同じく、善意も同じように見えて、少しの誤謬を犯すもの。均質のようでいて、均質ではないのだ。

オマエたちの未来は、明るく照らされているんだから
この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

cakesの人気連載「ワダアキ考」、5人の書き下ろしを加えてついに書籍化!!

この連載について

初回を読む
ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

mihaomihaomi 教育社会学者・本田由紀さんも登場させる武田砂鉄さんの文章が本当に好きだ! https://t.co/0EAlj9HhYI 4年弱前 replyretweetfavorite

ayumi_ark 飛躍感が凄い⇒” 4年弱前 replyretweetfavorite

idea_ink ノルマや資格の管理には逃げ道があるが、人間力の管轄には逃げ道がなくなる、というのは怖いこと。→ 4年弱前 replyretweetfavorite

guropan 反知性じゃなくて無知性至上主義かあ。 4年弱前 replyretweetfavorite