後編】見えないものを形にするクリエイションの力

謎を残したまま連載を終えた未完の漫画『クリームソーダシティ』のその後を描いた「クリームソーダシティ展」を記念して、作者の長尾謙一郎さんがトークショーを開催。小説『マダム・キュリーと朝食を』が第151回芥川賞候補作に選ばれた作家・小林エリカさんと、その著作を愛する長尾さんによる相思相愛対談が実現! 後編では、『クリームソーダシティ』に描かれている楽園の存在に言及していきます。そこで、クリエイターである2人の創造することの原動力をひもときます。

長尾謙一郎(以下、長尾) 19世紀末は目に見えない物を形にすることに集中した時代と話しましたが、あまり論理的じゃない世界だったんですかね。

小林エリカ(以下、小林) 普通にカオスがあったんじゃないですかね。

長尾 でも実際は不思議なことがたくさん起きているんですよね。無線を最初に発明したマルコーニ。無線を作ったとき、相手がいないのに応答があったという話もあります。

小林 心霊現象みたいですね。電話や蓄音機を発明したエジソンも、晩年は心霊主義になっていき、霊界と交信するための研究していました。科学者が、最後は目に見えない死後の世界へ研究が向いていたんですよね。

長尾 死をどう解釈したらいいのかって永遠の謎。何かを突き詰めていく研究とは、結局そこに研ぎすまされていくのかな。

小林 それも科学者がその方向にいくのが不思議。かくいうキュリー夫人も超常現象の究明に降霊会に参加していました。

長尾 わからないものが今より明らかに多かったんでしょうから。それこそ科学の進歩のおかげで、今はなんでも何となくわかるかもってみんな思っていますよね。宇宙論はたくさんありますが、言った者勝ちじゃないですか。「ひも理論」とかって証明できないですし。

小林 ええ、そうですね。

長尾 そうなると科学はアートと一緒なんじゃないかなって思うんです。言葉は悪いけれど、言った者勝ち。でも、日本人ってその感覚になかなか慣れない。

小林 どういうことですか?

長尾 結局は、その人がどういう人かということに興味がある。その人の世界観、つまり世界をどう定義しているか? そこだと思います。

小林 はい。

長尾 エリカさんは放射能を光だって定義したわけです。光と解釈することで、時間を超越できる。そんな風に解釈するのか、いいねって思う。芸術の成せる技。きもちいいね。大好き。

小林 それにしても人を撃つとクリームソーダシティにいけるっていうストーリーも糾弾されそうな話ですよね?

長尾 ええ、そうなんですけど。実はこのくだりには、着想した文献があるんです。

小林 え?

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創造の楽園を求めて—長尾謙一郎×小林エリカ対談

小林エリカ /長尾謙一郎

謎を残したまま連載を終えた未完の漫画『クリームソーダシティ』のその後を描いた「クリームソーダシティ展」を記念して、作者の長尾謙一郎さんがトークショーを開催。小説『マダム・キュリーと朝食を』が第151回芥川賞候補作に選ばれた作家・小林エ...もっと読む

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