文章力は、伝達力の基本」【第3回】文章を書くにあたっての「絶対ルール」

「日本人が日本語の文章を書くための文章力は、わざわざ身につけなくてもよい」は誤解です。子どものころに「文章を書く」という指導をきちんと受けてこなかった私たちに、入門書を得意とする作家・木暮太一さんが、文章力を身に付けるためにはどうすればよいかをお伝えします!


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前回まで、「書けない人の特徴」をリストアップしました。もし、みなさんがこれらの特徴に当てはまっているとしたら、文章を書くのに苦労することでしょう。

そこで今回は、その「特徴」から抜け出すための方法をご紹介します。

文章が書けるビジネスパーソンになるために、何が必要なのか、またどんなことを意識しなければいけないのか、それをお伝えします。文章が書けるようになるための「絶対ルール」です。

【絶対ルール1】 とりあえず書いてから推敲する

最初から完璧に書こうとすると、文章を書くのが難しくなります。書けなくなります。

ぼくは、今でこそ年に数冊、書籍を上梓しており、1日に1万字以上の原稿を書くこともできるようになりました。しかし、もともと文章を書くことが得意だったわけではありません。小学校からずっと国語が苦手科目で、大学受験時には偏差値40前後でした。1600字の小論文の試験も時間内に書き上げる事ができず、入試科目に「小論文」がある大学・学部を避けていたくらいです。

なぜ小論文が苦手だったのかというと、「文章を書いては消し、書いては消し」を繰り返していたからです。そんなぼくが長い文章を短時間で書けるようになったのは、「見直しせずに、とりあえず書く」という方法に変えたからです。

まず最初は誤字脱字も気にせず、変換ミスも気にせず、手の動きに任せてとりあえず終わりまで書いてしまいます。そうすることで、徐々に長い文章が書けるようになっていったのです。

あまり吟味せず、ミスも気にせず書くので、書きあがった文章は「完成形」とは程遠いものです。しかし、あとから「推敲(見直し・書き直し)」をしていけばいいのです。

あとで見直し・書き直しをするのであれば、最初から見直ししながら書いても同じじゃないか、と思われるかもしれません。ですが、全然違うのです。とりあえず書いてしまって、あとから見直したほうが圧倒的に短時間で文章が完成します。

文章が書けないと悩んでいる方は、「とりあえず書いてから見直す」と肝に銘じ、迷わず書いてみてください。驚くほどスピードが上がるはずです。

【絶対ルール2】 思いついた順に書く

「とりあえず書いてから見直す」と同様に極めて重要なのが、「思いついた順に書く」ということです。

文章は「1行目」から書かなければいけないわけではありません。「あ、このフレーズを使おう」「こんな内容を盛り込もう」と思いついたものから順に書き始めていいのです。そしてバラバラに書いた文章をあとからつなぎ合わせていけばいいのです。

バラバラに書いて、あとでちゃんとまとめられるの? そう不安に感じる人もいるかもしれませんが、不思議とうまくまとまります。

もちろん、全ての文章を無駄なく使えることは少なく、「書いたけど使えない文章」も出てきます。しかし、それを嫌がって頭から順番に書こうとすると時間が余計にかかってしまうのです。思いついたらそこから書くのが、文章を速く書くコツです。

まとめは後で考えることにして、まずはとにかく頭に浮かんだ要素を確実に文章にすることが重要です。

【絶対ルール3】 構成案をつくってから書く

絵を描く前に構図を決めなければいけないのと同様に、文章を書く前に構成をはっきりさせなければいけません。

「はっきりさせる」というのは、「文字にする」ということです。つまり「構成(目次)を実際に書く」ということです。

「書くことは決まっているから」と考えて、この目次づくりをおろそかにする人がいますが、自分でははっきりさせているつもりでも、頭で考えているだけではどうしてもあやふやな部分が残ります。いざ書こうとした時に、書こうと思っていた内容を忘れたり、関係ない内容を書いてしまったりします。たとえ「目次」が必要ない文章であっても、文字に起こしおいたほうが確実です。

といっても、複雑な目次は不要です。伝えたい内容を網羅すべく、書くべき内容をリストアップしていくイメージです。

プレゼン用にパワーポイントで資料を作る時、まずは各スライドに何を書くか、イメージを持たなければいけない、といわれます。そうしないと、結局使えないスライドばかりをつくってしまい、時間ばかりかかってしまうのです。

文章を書くときも全く同じです。具体的に書き始めるのは、文章の全体像を作ってから、にすべきです。

具体的な構成案の作り方は、また後日紹介しますので、「まず構成案(目次)を作ってから書く」を肝に銘じておいてください。

【絶対ルール4】 目的に応じた情報量を

文章にはそれぞれ目的があります。日々の業務の報告だったり、商品の説明だったり、あるいは施策のプレゼン目的の場合もあるでしょう。毎日の業務報告の場合には、その日行った業務の概要を書いて、上司・先輩に報告します。この時、「どこの部屋で打合せした」などは不要ですし、「打合せでの一人ひとりのコメント」などはいらないかもしれません。

たまに、「議事録」と「テープ起こし」を同じ意味で捉えている人がいますが、別モノとして考えるべきです。「議事録」は「その会議で話された内容の記録」です。「テープ起こし」は、「その会議で発言されたすべてのコメントを文字に起こすこと」です。

会議の内容を記録するために、各参加者の全コメントをチャット形式に記載しても全く意味がありません。たしかに、すべてのコメントを発言通りに記録しておけば、「言った、言わない」のトラブルは避けられるでしょう。しかし、そのような「証拠」を残しておく目的であれば、録音しておけば済む話です。

要は、なんでもかんでも100%正しく書けばいいというわけではない、ということです。目的に応じた情報量に編集すべきなのです。

詳しく書けばそれだけ情報量が多くなり、それをすべて読めば相手の理解は確実に深まるでしょう。しかし、相手が全て読んでくれるとは限りません。忙しい人であれば、「重要ではない情報」「詳しすぎる情報」をいちいち読んでいる暇はなく、かえって嫌な顔をされてしまうことでしょう。それでは「下手な文章」になってしまうのです。

誤解していただきたくないのは、「適当に書けばいい」ということではありません。その時々に最適な情報量を考えながら書くべきであり、「必要以上の正確性はむしろ弊害」ということを肝に銘じておきましょう。

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木暮太一の「経済の仕組み」

木暮太一

10万部超のベストセラー『今まで一番やさしい経済の教科書』などのビジネス書で知られる著者が、なんとなく分かったつもりになっていた「経済の仕組み」を懇切丁寧に解説します。ビジネスパーソンの基礎力を高めたいなら必読です。

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shigeksi 「平凡でも「伝わる文章」を書くことに集中すべきです。逆にいうと、書き手の真意が「伝わればいい」のです。」 4年弱前 replyretweetfavorite