文章力は、伝達力の基本」【第2回】なぜ分かりやすい文章が書けないのか?

「日本人が日本語の文章を書くための文章力は、わざわざ身につけなくてもよい」は誤解です。子どものころに「文章を書く」という指導をきちんと受けてこなかった私たちに、入門書を得意とする作家・木暮太一さんが、文章力を身に付けるためにはどうすればよいかをお伝えします!


〔PHOTO〕Thinkstock by gettyimages

「分かりやすい文章」「伝わる文章」を書けるようになるためには、まず「(ある程度)長い文章を書けるようになること」が大事です。そして、次に考えるべきことは、「分かりやすい文章」にすることです。

ここでは、まず「分かりにくい文章の典型的理由」をご紹介します。みなさんもこんな文章を書いてしまっていませんか?

「てにをは」が間違っている

「てにをは」というのは、いわゆる「助詞」のことです。「~が」「~に」「~と」「~から」など、全ての文に登場します。たった1語、2語ですが、非常に重要な役割を果たしており、この使い方を間違えただけで、一気に文章が「下手」になります。

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今日、わたしへ東京は行った。
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今日、わたしは東京へ行った。
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かなり大げさな例ですが、「てにをは」が入れ替わるだけで、文が大きく崩れてしまうことをご理解いただけると思います。

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東京にいらっしゃる日程に、オフィス近くに喫茶店を見つけて、打合せをしましょう。
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東京にいらっしゃる日程で、オフィス近くで喫茶店を見つけて、打合せをしましょう。
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この文章は、「てにをは」を間違っている
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この文章は、「てにをは」が間違っている。 / この文章は、「てにをは」を間違えて書いている。
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「てにをは」なんて間違えるはずない、そう思った方は、自分が最近送ったメールを読み返してみてください。おそらくいくつか間違っている箇所がみつかるでしょう。知らず知らずの間につい間違えてしまうものなのです。

表現が丁寧すぎる

読み手に失礼になってはいけない、不愉快な思いにさせてはいけない、と心配するあまり丁寧すぎる文章になってしまうことがよくあります。そう思う気持ちは理解できますが、必要以上に丁寧な表現を多用すると書き手の意図が伝わりづらくなってしまいます。

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先日、○○についてのお願いをさせていただき、弊社といたしましてはその際に依頼状をファックスさせていただきましたが、御社におかれましては未だにご返信を頂戴しておりません。
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先日、○○についての依頼状をファックスいたしましたが、まだ貴社よりご返信をいただいておりません。
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ご多忙の折、お時間をとっていただいて、せっかくお問い合わせいただきましたが、本日、弊社担当者が出張に出ているところでございます。お手数をおかけいたしまして誠に恐れ入りますが、改めてこちらからご連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
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大変申し訳ございませんが、現在担当者が出張に出ておりますため、改めてこちらからご連絡させていただきます。
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「主語」と「述語」が対応していない

主語と述語が対応していないと、その文章の意味を理解することが極端に難しくなります。そう言われると「超基本的なテーマ」のように思います。しかし、主語と述語が対応していない文章は意外に多いです。

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当社は、業績が下がった結果、社員が必死になって努力したり、損失を埋め合わせたりするなどして、改めていい企業だと感じた。
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この文の主語は「当社」です。しかし、述語は「いい企業だと感じた」です。「いい企業に感じた」のは、おそらく「わたし」でしょう。文を読むと、なんとなく言いたいことは分かりますが、主語と述語が対応していないので、しっくりきません。

主語が「当社」であれば、述語も「当社がしたこと/当社の状態」でなければいけません。あるいは、述語が「いい企業だと感じた」であれば、主語を「わたしが」に変えればいいのです。

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・当社は、業績が下がった結果、社員が必死になって努力したり、損失を埋め合わせたりするなどして、いい企業に成長した。

・当社では、業績が下がった結果、社員が必死になって努力したり、損失を埋め合わせたりしている。わたしは改めていい企業だと感じた。
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コメント

atozak あーあーあーあーこれものすごくスッキリ読めた。同僚の文章が読みづらい理由が分かったわ。  3年以上前 replyretweetfavorite