文章力は、伝達力の基本」【第1回】文章は「起承転結」で書いてはいけない!

「日本人が日本語の文章を書くための文章力は、わざわざ身につけなくてもよい」は誤解です。子どものころに「文章を書く」という指導をきちんと受けてこなかった私たちに、入門書を得意とする作家・木暮太一さんが、文章力を身に付けるためにはどうすればよいかをお伝えします!


〔PHOTO〕Thinkstock by gettyimages

文章力は、学んで身につけなければいけない

先日、小学生の作文について調査をしていて愕然としました。「起承転結の文章」が"いい作文"として、模範にされているのです。ぼくは文章を書くことを仕事にしていますが、そんなぼくでも「起承転結」で文章を書いたことはありません。

起承転結で書いていいのは小説や随筆などプロが読ませる文章だけです。実社会やビジネス現場では、「起承転結」で表現してはいけません。それでは、ものすごくわかりづらくなってしまいます。

ためしに、社内の報告文書を起承転結で書いてみたらよくわかるでしょう。大事なのは「結」で、「結」を最初に書かなければ内容がうまく伝わりません。

しかし、そんなわかりづらい文章が小学校の作文では「正解」とされている。こんな文章を「理想」として教えていいのでしょうか? 一体、小学生の作文は何を目指しているのでしょうか?

そんなふうに教えられているから、国語が苦手になるし、文章を書くのが苦手になっちゃうんですよね。作文コンクルールに入賞できなくても、将来にわたって役に立つ文章を教えるべきだと、ぼくは思います。

しかし、その前にまず、大人であるぼくらが文章力を身につけなければいけない。そう強く感じました。

日本人が日本語の文章を書くことは、それほど特殊な能力を必要としません。見かけ上は。そのため、多くの人が「わざわざ文章力など身につけなくても問題ない」と感じていることでしょう。

しかしそれは「誤解」です。考えてみると、ぼくらは文章の書き方をきちんと指導されてきませんでした。夏休みの読書感想文は書きましたね。でも、その文章の添削をしてもらいましたか? そもそも感想文の書き方を習いましたか? 少なくとも、ぼくは習っていません。

メールを1本書くのに1時間かかる人がいます。せっかく書いた文章が支離滅裂で、「で、この文章、何が言いたいの?」と言われてしまう人がいます。これでは、自分の言いたいことが、相手に伝わりません。そこで、これから数回、文章力を身につけるためにどうすればいいかをお伝えしていきます。

ぼくは本業の作家で、年に数冊の書籍を上梓しています。1冊あたり8万字~10万字の原稿を書きますが、執筆期間は1ヵ月もかかりません。作家業のほかに法人を2つ経営していますので、その仕事をこなしながら執筆しています。ですが、それでも1ヵ月あれば1冊の本を書きあげることができます。(もちろん、書くためのネタ集めや経験を整理することはその前に行っています)

いったい、どうやっているのか? どうすれば思い通りの文章を速く書くことができるのか? 今回の連載では、そこをお伝えしていきます。

初回は、みなさんが陥りやすい"罠"、"悪い癖"を紹介します。これに当てはまっていたら、いくらがんばっても「いい文章」を速く書くことはできません。

文章が書けないのはなぜ?

一口に「文章が苦手」といっても、2つのタイプがあります。

ひとつは、「分かりやすい文章が書けない」「良い文章が書けない」タイプ。つまり「文章が下手」という意味です。もうひとつは、「そもそも文章を書くことができない」タイプです。

文章を書こうとすると、キーボードの上で手が止まってしまい、それから書き始めることができないのです。また、一度書いてもすぐに消してしまい、何度も同じことを書いては消し、書いては消して、結果的に長い文章が書けないのです。

「分かりやすい文章」「伝わる文章」を書くためには、「上手な文章」を書けるようにならなければいけません。しかし、その前に、とにかく文章が書けなければ話になりません。まずは「文章が書けるようになること」が必要なのです。まず長い文章が書けるようになってから、その次に「分かりやすい文章」にすることを考えるべきです。

文章が書けないと悩んでいる人には、いくつかの共通点があります。もしこれらの「特徴」に当てはまっていたら、それが、みなさんが「文章ベタ」になっている理由かもしれません。

最初から完璧に書こうとしていませんか?

みなさんは、文章を1行目から完璧に書こうとしていないでしょうか? つまり、「最初からいい文章を書こう」としていませんか? もしそう考えていたら、文章は書けません。

「最初から」というのは、「慣れないうちから」という意味ではありません。「いきなり清書してしまう」「100%気に入った文章を書かないと先に進めない」という意味です。そう考えていると、書いた文章をいちいち確認してしまい、直したくなります。何度も何度も書き直してしまうために、なかなか先に進めなくなるのです。

文章が書けない人の一番大きな特徴は、書いた文章が「100%」になっているかどうかを確認したがり、すぐに書きなおしたがることです。みなさんの周りにもそういう人がいませんか? パソコンで1行書いたとたん、全部消してまたゼロから書き直す人。そういう人はだいたい、文章を書く(仕上げる)のがとても遅いです。

書くことに慣れてきたとしても同じです。慣れてくれば、最初からある程度の質の文章が書けるようになるでしょう。だとしても最初から完璧な文章を書くことはできないのです。

書くことを仕事にしているプロの作家でさえ、最初から完璧な文章が書けるわけではありません。書きあがった後に、何度も見直し、書きなおします。それくらい最初に書いた文章は「下手」なのです。プロでさえそんな状態ですから、まして書くことを本業としていない方が最初から完璧な文章を書けるはずがないのです。

「伝わる文章」を書くためには、まず文章を書かなければいけません。そしてそのためには、最初から完璧に書こうとしないこと、いちいち見直していい文章にしようとしないことが大事です。

まずは、「振り返らずに、一度最後まで書く」を徹底することです。まず全体を通して書いてから、細かい表現の修正をしていった方が圧倒的に早く書くことができます。

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木暮太一の「経済の仕組み」

木暮太一

10万部超のベストセラー『今まで一番やさしい経済の教科書』などのビジネス書で知られる著者が、なんとなく分かったつもりになっていた「経済の仕組み」を懇切丁寧に解説します。ビジネスパーソンの基礎力を高めたいなら必読です。

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コメント

shigeksi 「起承転結で書いていいのは小説や随筆などプロが読ませる文章だけです。実社会やビジネス現場では、「起承転結」で表現してはいけません。」 3年以上前 replyretweetfavorite