国家の通貨発行権はすでに民営化されつつある
田原総一朗(以下、田原) では、徴税の民営化は?
堀江貴文(以下、堀江) これはもう、国家の民営化の最終的な局面になるわけです。しかし、今すでに、通貨発行権とか徴税権は国家機能から解放されつつあるんですよ。
田原 なんですって? いったい、何が国家から通貨発行や徴税という、重要な機能を奪おうとしているのですか?
堀江 たとえば、ビットコインなんかもそのひとつです。
田原 ああ、ビットコインの話は、最近よく聞きますよ。社会革命だと言っている人もたしかにいますが、実は僕にはビットコインというものがさっぱりわからない。どこがそんなにすごいのですか?
堀江 ビットコインは、仮想通貨とか暗号通貨と言われるものです。その大きな特徴は、日本でいえば日銀のような中央銀行の存在がないということです。
田原 では、ビットコインは誰によって管理されているんですか?
堀江 ビットコインの発行や取引は、すべてピアツーピア(P2P)という対等な関係にある者たちのネットワーク上で行われています。そこにあるのは、「ブロックチェーン」というしくみなんです。
田原 ブロックチェーン。これが大切なしくみなんですね。
堀江 (ノートパソコンの画面を見せながら)これはビットコインの全取引台帳で、その管理方法が画期的なんです。つまり、ビットコインの全てのやり取りが書かれた台帳が「ノード」といわれるネットワーク上の場所に保存されていて、関係者が取引履歴を共有しているんですよ。
田原 みんなが取引台帳を共有しているというのが、ビットコインの特徴なんだ。そして、こういう管理者のいないシステムをピアツーピアということですか。
堀江 そうです。ブロックチェーンによって取引の結果を利用者のみんなで共有することによって、銀行や国家のような中央の認証機関が必要ないということになっているんです。
田原 でも、不正を働く人もいるでしょ。ハッカーとか。
堀江 もちろん、不正を防ぐための検証システムも、合理的につくられています。これはややこしいのであとで説明しましょう。
田原 で、その検証システムをみんなで見ていることができるから、円やドルのようにビットコインも信頼ができるということになるんですか?
堀江 ええ。通貨というのは、そもそも共同幻想であって、みんなが信じているから安全なんですよね。