人間観察のススメ

この連載の魅力のひとつでもある、著者・林伸次さんの観察力。実際、この連載を読んでお店に来た方からよく林さんは、「人間観察が好きなんですね」と言われるそう。ではどうして林さんはそんなに人間観察が得意なのでしょうか? それはbarという林さんのお仕事と深い関係がありました。
cakes編集部にいらっしゃった林さんがnoteに書かれたレポートとあわせてお楽しみください。

バーテンダーに必須の人間観察

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

最近、この連載を読んでくれているお客さま達からよく「林さん、人間観察がホント好きなんですね。どうしてなんですか?」と質問されます。それはですね、職業病なんです。

例えばすごくわかりやすい例で言いますと、泥酔したお客さまがいます。バーは基本的にお酒を飲むところなので、酔っぱらいは普通なのですが、こういうことがあります。

トイレで嘔吐してしまったり、小さい方を便器の外にしてしまう方っています。そういうのってバーだと日常茶飯事なのですが、よくよくチェックしていないと、その「掃除できていないトイレ」にデート中の女性が入ってしまったりするわけです。デートが台無しですよね。たぶん、その女性は「あのバーはイヤだな」って印象になってしまうので、今後の来店も見込めません。それを避けるために「あ、あの人、なんか戻しそうだな」とか「あの人、足がふらふらしてるな」なんていうのを感じると、急いでお水を持っていったり、トイレをチェックしたりするわけです。

他にも、最近は女子会でもバーはよく利用されます。女子会って「完全割り勘」ということがあるんです。そうなると、「私だけ飲み過ぎ」とか「これ3人で取り分けやすいようにしてよ」とか色々とあるわけです。ですので、そういう「きっちり等分派」なのか、それとも「私たちもう20年来の友達だから、そこに赤ワインのボトル置いといてくれたら適当にやるから派」なのかを見極めるのも仕事なわけです。

あるいは、「このカップルはどういう仲なのか?」というのも必ず僕はチェックします。「まだ寝てないけど、今日こそは」なんてカップルなら実はすごく楽です。2人で勝手にやってくれるし、僕は飲み物が空いてるかどうかを気にするだけが仕事です。

結構、倦怠期ぎみのカップル、あるいはご夫婦(実はあまりご夫婦はバーには来ませんが)だったりすると、僕の出番が要求されます。はい、彼らってもう話すことがないんです。だから僕から「○○っていう映画観ましたか?」とか「最近こんなことがあったんですよ」とかといった話題を提供しなければならないんです。

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ワイングラスのむこう側

林伸次

東京・渋谷で16年、カウンターの向こうからバーに集う人たちの姿を見つめてきた、ワインバー「bar bossa(バールボッサ)」の店主・林伸次さん。バーを舞台に交差する人間模様。バーだから漏らしてしまう本音。ずっとカウンターに立ち続けて...もっと読む

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コメント

kaneharu 面白いなぁ、こんなの書かれちゃうとcakes有料会員やめられないよ^^; 約4年前 replyretweetfavorite

shinshinesun 観察力は想像力を拓くなあ。 約4年前 replyretweetfavorite

decatenation 今日のこれおもしろい。 約4年前 replyretweetfavorite