​カッコいい大人

いつの時代も繰り返される「最近の若者は~」という若者批判。bar bossa店主・林伸次さんは、そんな話を聞いた時必ず思うことがあるそうです。カッコいい大人が減り、カッコつけることが「カッコ悪い」ものとして嘲笑されがちな昨今、あえて「カッコいい大人」になろうという林さんのコラムです。

「カッコいい」が嘲笑される時代

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

バーでこんなシーンをよく見かけます。

僕がワインのボトルを開けて、「テイスティングをお願いできますか」と伝えると、「雨に濡れた子犬とか夏の草原の香りとかってやつですよね」と誰かが言って、みんなで大笑いというあのシーンです。

お気持ちはすごくわかります。ワインのテイスティングなんて、よっぽど詳しくないとわからないから、なんだか照れくさくって恥ずかしいんですよね。それで、ひとまず笑っておくと緊張した場はほぐれます。

さて、最近思うのは、僕が働いているバーのような場所でお酒のウンチクを語ったり、背筋をのばして乱れずに飲む人が本当にいなくなったなあってことです。

僕がバーテンダー修行を始めた20年前にはまだ結構いたんです。「あのお客さまが来たら、すごく難しいクラシックなカクテルを注文するから恐ろしいなあ」とか「あの方はシングルモルトが本当に好きで、現地まで行って買い集めたりしているから中途半端なウイスキーのお話はできないんだよなあ」とか「あの女性、飲み方が美しいなあ。ダラダラ恋愛の話とか仕事の話とかしないで、サッと飲んでパッと支払いをすませて帰るのってカッコいいなあ」とかって方が必ずいたんです。

でも、最近は本当にいないんですよね。

おいしいコーヒーやお酒にこだわり、行きつけの店を持ち、そこの常連になり、決して乱れた感じにはならず、自分の時間を楽しんで、そしてちょっと早めに席を立つ。そして周りの若いお客さまから「大人になったらああいう風に飲みたいなあ」と思わせるスタイルの人です。

どういうわけだか、いつの間にかそういうことを感じさせる人って嘲笑の対象になってしまったんですよね。

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ワイングラスのむこう側

林伸次

東京・渋谷で16年、カウンターの向こうからバーに集う人たちの姿を見つめてきた、ワインバー「bar bossa(バールボッサ)」の店主・林伸次さん。バーを舞台に交差する人間模様。バーだから漏らしてしまう本音。ずっとカウンターに立ち続けて...もっと読む

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コメント

TKDPoomsae カッコいい大人|林伸次 @bar_bossa | 9ヶ月前 replyretweetfavorite

kodchiang そりゃそうだわ。何かを余裕を持って楽しむほど今の若者は経済的に恵まれてないんだもの。 > 4年弱前 replyretweetfavorite

mthgrlvr カッコいい大人|ワイングラスのむこう側|林伸次 @bar_bossa |cakes(ケイクス)"「www」ばかりな世の中っめ貧しくて寂しくありませんか" ちょっと反省した。 https://t.co/mrTa8AOgXv 4年弱前 replyretweetfavorite

takako_kawasaki 本当にそうですね。カッコいい大人| 4年弱前 replyretweetfavorite