第6回】混沌とした未来に、もっと激しく警鐘を鳴らしたい

つねに日本の「問題」から目をそらさずに執筆活動をつづけてきた真山仁さん。その問題には「海外」、とくに「アメリカ」の存在が大きくかかわることも少なくありません。デビュー10周年記念インタビュー最終回となる今回は、真山さんのアメリカ観と、今後10年間の作家としての将来像、日本の未来への展望についてお聞きしました。

— そう言えば、『ハゲタカ』シリーズでも、アメリカがしばしば鷲津の巨大な敵として立ちふさがります。真山さんのアメリカ観をお聞かせください。

真山 アメリカのおかげで日本が豊かになったのは間違いありません。その一方で、どこまでもアメリカに追随する日本という国のあり方は、どうなのかなと思っています。

— それはどういうことでしょうか。

真山 日本を守るために米軍基地があると勘違いしている日本人は多いですけれど、アメリカは自国を守るために軍隊を置いているにすぎません。だから、もう少し日本人は、なぜアメリカがこういうことをしているのか、冷静に考えるべきだと思っています。

— アメリカの国益とは何か、ということですね。

真山 日本人は、アメリカが日本を好きだと思っていて、アメリカが一生懸命やってくれるから恩返ししようとしていますけれど、アメリカは日本なんてなんとも思ってません。ただの道具です。外交も、スパイ活動も全部含めて、それが国家なんですよ。スノーデン事件でNSAの情報収集の手口が発覚し、CIAがドイツのメルケル首相の携帯を盗聴しているという疑惑がありましたが、それはひどい話でも何でもない。当たり前です。

— 建前ではともかく、本音では国際政治の常識であると?

真山 『ハゲタカ』の取材の時にも聞きましたが、日米貿易交渉の時は、日本側の作戦ルームに盗聴器が仕掛けられていて、日本の戦略は全部筒抜けだったそうです。そういうことを日本人は知らなさすぎます。
 国家が一番大事にしているのは自国民で、国民を食わせなきゃいけないんですよ。それが一番わかりやすいのがアメリカです。だから、個人としての日本人とアメリカ人は、友情をはぐくめるかもしれないけれど、国同士の関係はそうじゃない。日本はその点甘すぎると思っています。アメリカが日本のためにプラスになることをやってくれるとしたら、それは最終的にアメリカの利益になるからです。そのことを忘れてはいけないと思います。

昭和史と向き合う

— これで過去10年間の真山仁の足跡を追ってきたわけですが、今後の10年間のイメージはできていますか?

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日本の「問題」から目をそらすな—作家・真山仁デビュー10周年記念インタビュー

真山仁

現代社会の光と影に注目し、常識のウソに鋭く切り込む小説家、真山仁さん。今年でデビュー10周年を迎えた真山さんは、日本経済の問題点を鋭く浮かび上がらせ、大ヒットをとばした『ハゲタカ』シリーズから、原発事故を題材とした『ベイジン』、関東大...もっと読む

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office_mayama 昨秋cakesに掲載された、真山仁デビュー10周年記念ロングインタビューを、時間限定で無料公開です! 約3年前 replyretweetfavorite