牛込の加寿子荘

牛込の加寿子荘」 第十六回

築40年を超える「加寿子荘」での生活風景。能町みね子の自叙伝風小説! (『少年タケシ』2012年2月更新分より)

 年明けて数日後。もはや生まれ育った地よりも断然こちらのほうに肩入れしている私は、赤城さんにおまいりいたします。


 私はこのころ、お友達からおしえてもらって、御朱印集めというステキな趣味を始めようと思ったのです。で、それならやっぱりなじみのあるところからだ、ってんで、初詣のついでに、まずはご近所の赤城さんで御朱印帳を買うことにしました。神楽坂通りの少し北に入ったところの、丘のようになった部分の縁、こんもりと繁った木々のなかに静かにいらっしゃる赤城さん。ここのところ敷地内の社務所だった建物を使ってカフェをやってみたり、神饌料理のお店を出したりしている、古くて新しい赤城さん。


 ところが、赤城さんでは御朱印帳というものは扱ってないんだって。残念だ……。


 御朱印自体はもらえるようなので、いただくことにした。メモ用紙大の紙に「赤城神社」などの筆文字、そして御朱印が捺してある。御朱印帳が手に入ったら、この紙を貼り付ければいい。


 しかし、その「赤城神社」の字のヘタなこと!


 いや、せっかくいただいてそんなこと言っちゃあいけないんですが、縦の四文字の並びがやや右曲がり。字も、ややよれた細い線で構成されている。雑に書いたものではなく、まじめに書いてくれたのにヘタなのだからしょうがない。

 帳面がなくてはたよりないので、つづいて毘沙門さんに行くことにしました。飯田橋駅から神楽坂の急坂をのぼった先、商店街のまんなかに位置する、門前の路上がなぜか花屋さんになっている毘沙門天善國寺。

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