夜ごと喧噪と狂乱の絶えない東京・中野のスナック「C」は、年に1度、凪のように穏やかな表情を見せる。宮古島出身のマスターR氏が、繁忙期にさしかかった家業のたばこ農園を手伝うため1か月ほど帰省、店を空ける時期がそれだ。
「宮古には海しかないと思われがちだけど、実は夜も楽しいんです。宮古に働きにきている内地の女のコたちは、都会を離れた開放感でノリがいい。東京のキャバ嬢みたいに、ギスギスした上下関係で心を病んだコなんていませんよ」
「C」で働くアルバイトレディたちの陽気さの秘密は、宮古スタイルの賜物といったところだが、あらためてこう言われれば、国内外を問わず“旅飲み”をライフワークとしているスギナミの食指が動かぬはずもない。R氏を夜の水先案内人に、僕は機上の人となった。
島唄ライブの名店で心地よく酔う
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