牛込の加寿子荘

牛込の加寿子荘」 第十三回

築40年を超える「加寿子荘」での生活風景。能町みね子の自叙伝風小説! (『少年タケシ』2011年10月更新分より)

お盆は、常磐線にのって実家に帰る。実家という言葉は、そのまわりの風土もふくめた空気感をも意味する場合が多いけれど、私にとっては建物と家族をしか意味しない。
常磐線のみなさんは、みんな泥くさい。それが良い、とあえてひとことではいわない。私はなじめないようで実は初めからなじんでいるようで、そこに不快もあり。
となりの席の女の人が、ポケットからアイポッドミニを取りだしたときに、百円玉がシートの上に落ちた。わたしはそれを言ってもよかったんだけども、その女の人がけっこう音もれしていて気に入らなかったもんで、だまっていたんだよ。まあ私ってのはこの程度の人だからな。

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築40年を超える「加寿子荘」での生活風景。能町みね子の自叙伝風小説!

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